「身元保証」や「亡くなった後」を支援する「高齢者サポートサービス」に関するトラブルが増えています

少子高齢化の進展の中で高齢で一人暮らしをしている「お一人様」が増えています。頼れる親族が近くにいない場合、日常生活で困ることや亡くなった後のことについて不安に思うことがあります。例えば、「入院や施設入所で保証人が必要と言われたが頼れる親族がいない」「自分が亡くなった後の葬儀や遺品整理が心配」などがあります。

これらの不安や悩みを解決することを目的に「高齢者サポートサービス」を行う民間の業者が誕生しています。日々の暮らしの中でちょっとした手伝いを行ったり、身元保証人になったり、亡くなった後の葬儀や遺品整理を行ったりします。


「高齢者サポートサービス」と言っても法律などで業務内容が定められていないため、業者の判断で内容が定められ実行されています。このため、サポート内容や契約方法、料金などを巡ってトラブルが発生しています。高齢者が十分に契約内容を理解しないまま契約を行いトラブルになるケースが増えています。

厚生労働省は平成29年度において身元保証等高齢者サポート事業の実態把握のための調査を実施しています。その結果を受けて平成30年に消費者庁から「啓発資料」が作成されました。この資料は、消費者庁から都道府県・政令指定都市の「消費生活センター」に対して、高齢者との相談における助言時の参考資料として活用するよう要請されました。


(「高齢者サポートサービス」とは )

一人で暮らす高齢者や頼れる親族が近くにいない高齢者の方は、医療機関への入院・介護施設等への入居の際の身元保証人の手配や亡くなった後の葬儀や遺品整理について不安を抱えています。その他、日々の見守りなどのこまごましたことを代わりに行って支援してくれる人を必要としています。

このような要望に応えて、有償でこれらの悩みを解決してくれるサービスが「高齢者サポートサービス」ということになります。具体的には、次のようなサービスを行っています。

(1) 日常生活支援サービス

緊急時の親族への連絡や、買い物の手伝いなどを行います。

(2) 身元保証サービス

医療機関や介護施設へなどに入る際の費用の支払いを保証します。

(3) 死後事務サービス

遺体の確認。引き取り、住んでいた部屋の原状回復などを行います。


(「高齢者サポートサービス」契約を締結する前に必要な基礎知識 )

高齢者サポートサービスを業者の勧めるるままに契約するのではなく、事前に「身元保証」や「死後事務」について、予備知識を持っておくことが必要です。消費者庁から出されている「啓発資料」には次のように解説されています。

< 1.身元保証に関する基礎知識 >

◆ 身元保証サービスは、入院や介護施設への入所に際して、お金等の心配がある方のために、支払いを一時的に立て替えたり、緊急時の連絡先になってくれるサービスです。

◆ その際の支払を一時的に立て替えたり、緊急時の連絡先になってくれる人を「身元保証人」といいます。

◆ 基本的に身元保証人がいなくても入院や介護施設等への入居は可能です。

< 2.死後事務に関する基礎知識 >

◆ 死後事務サービスとは、家族・親族など身寄りがない方が亡くなられた後に、葬儀や入院・入所費用の支払いなどの事務手続を代行してもらうことのできるサービスです。

◆ 高齢者サポートサービスの提供事業者以外にも、地域によっては自治体や社会福祉協議会、あるいは弁護士・司法書士が死後事務の支援を提供している場合もあります。

 


< 3.相談先として >

保証人を求められた時など何か困った時には、自分だけで抱え込まず、お住いの近くにある支援機関に相談しましょう・

◆ 悩みごとを抱えて誰に相談したら良いか分からない時は、すぐに契約するのではなく、本当に高齢者サポートサービスが必要かどうかを含め、まずは公的な機関である「地域包括支援センター」に相談しましょう。

◆ 契約に関することで分からない時は、お住まいの地域の「消費生活センター」に相談しましょう。

以上のように「啓発資料」では説明されています。


( よくあるトラブル事例 )

トラブル事例として次のようなものがあります。

① サービスごとの料金の違いや体系、支払うことになる総額がいくらになるか良く分からない。金額にも納得がいかない。

② サービス利用にあたって行われる事務手続きについて、例えば、「財産状況を開示する必要がある」「遺言書を書く必要がある」などとされているが、必要性について納得がいかない。


③ 当初イメージしていたサービス内容と実際に行われるサービス内容が異なっている。期待したようなサービス内容ではなかった。

④ サービス内容について家族や第三者 (地域包括支援センター、金融機関など) から聞かれてもうまく説明ができず不安になる。

⑤ サービスを停止したり終了したりする手続が分からない。終了時の返金金額に納得がいかない。

⑥ 死亡により契約が満了して初めてサービスの契約内容を知り家族がびっくりする。

これらのトラブル事例を見ると、トラブルの原因としては、契約前に十分サービス内容を理解しないまま、業者の説明を鵜呑みにして契約していることが伺えます。他の人に相談することなく本人が一人で判断していることが分かります。


( サービス利用にあたっての賢い段取り )

高齢者サポートサービスをどうしても必要な場合は、契約前に十分な説明を受けてて納得する必要があります。できれば、地域包括支援センターに事前に相談に行くことをお勧めします。本当に必要なサービスかどうか公的な第三者の目で確認してもらうことが必要です。

契約内容に疑問がある場合は、そのままにせず、細かい点に納得のいくまで業者に確認することが必要です。法的な問題など分からない事柄については、「消費生活センター」や近くの弁護士や司法書士に確認することも必要となります。

(まとめ)

少子高齢化の流れの中で、高齢者をサポートするサービスは色々なものが今後も出てくると思います。サポート業者の中には、十分なノウハウもなく、利益目当てで新規参入してくる業者もいると思います。

政府もこの問題について憂慮していますので、今後、何らかの法的な規制や監督官庁が決められていくものと思います。

詐欺的な業者に引っかからないように十分注意してもらいたいと思います。

 

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