主な相続財産が不動産しかない

<もめる典型的なケース>  ※ 事例では、被相続人の妻の相続は、説明の都合上、考えないこととしています。

・現在、相続関係の統計資料を見てみますと、遺産の中で不動産が半数以上を占めています。設例にあるような主な相続財産が、土地と建物のみというケースも少なくありません。

・この実家の土地と建物をめぐって、その相続方法でもめます。親(妻)と長男が同居している場合、実家は長男が相続すると考えている長男は多いと思います。

・もう一人の相続人である長女が、それで良いと考えれば問題は生じません。しかし、最近の男女平等の考え方の広がりの中で、長女も相応の権利主張をする時代となっています。

・また、本事例では登場しませんが、次男がいる場合、次男も相応の相続分を求めるケースが普通になってきています。(これが、法の求める、本来の姿であります。)

現金や有価証券などであれば、分割することはできますが、土地建物は分割ができません。遺産に現金や預金の少ない場合は、問題はより深刻になります。

<相続発生時の対応>  (トラブル発生状況)

・実家を長男が相続し、長男が実家の評価額を基に代償を計算して、長女に現金で代償を支払う。但し、長男が必要な現金を準備できない場合、家を売却する必要が出て来きます。

・実家の名義をとりあえず、長男・長女等の共有名義とするケースもあると思います。 しかし、この方法は、問題の先送りであり、最悪手です。極力避けることが必要です。次の世代で、問題を複雑化して、さらにもめる事になります。

・実家の評価額をめぐっても争いになります。長男は低く見積もり、長女は高く見積もります。不動産価格は、色々と値段の評価が分かれますので、収拾がつかなくなる恐れがあります。

<必要な事前対策>

生前に長男に実家の不動産を相続させる旨の遺言を準備し、長女にも話をして、ある程度の納得を得ておく必要があります。生前より、ある程度の話し合いをもっておけば、実家の相続方法について、相続発生時、大きな争いになるリスクは避けられる可能性があります。

「相続トラブル8つの事例と7つの対応策」へ戻る

※ご相談は、名古屋市瑞穂区の村瀨司法書士事務所にお任せください。