自筆証書遺言の作り方
まず、簡単な見本を見てください。一見、簡単そうですが、ここには厳格なルールが法律で決められています。

要件は、以下の4点です。

全文を自筆で書くこと。
ワープロ等での作成は不可です。
他人による代書も不可です。(一か所の代書も不可です。)
書き間違えたら、「何字抹消、何字加入」印などの正式訂正方法で修正する。
但し、全文書き直した方が無難だと思われます。
遺言書の作成日付を記入すること。
「平成30年8月吉日」は不可です。必ず、実在する日を特定して記入してください。
後から、遺言したのが具体的に何年何月何日か分るようにする必要があります。
その点が分かれば、西暦、和暦OKです。 「平成30年の元旦」でもOKです。
遺言者の氏名を記入すること。
遺言者の氏名を記入してください。
印鑑を押印すること。
遺言者の印鑑を押印してください。実印が良いと思います。認印や拇印も可能ですが、後日の紛争を防ぐため、実印をできる限り押印してください。

この4点は、必須ですので1点でも欠ければ遺言は無効になります。くれぐれもご注意ください。

※例文には記載していませんが、遺言執行者の指定を記載することをお勧めします。遺言の執行を円滑にするために指定します。(相続人、親族、友人、司法書士や弁護士等 信頼のおける方を指定します。) 例文は以下の通りです。
3. 遺言執行者
 住 所     田中 一郎 (昭和〇年〇月〇日生)

※平成31年1月13日より、財産目録については自書しなくても良いことになりました。財産目録が多い場合は、財産目録をワープロなどで別紙として作成する事が出来る様になりました。但し、ワープロなどで作成した財産目録の各ページごとに本人の署名・押印が必要になります。尚、遺言書本文は、本人の自書での作成が必要ですのでご注意ください。

検認手続について
自筆証書遺言は、家庭裁判所において検認の手続きを取る必要があります。
封印されてある遺言書の開封は、相続人が勝手に行うことはできません。検認手続の中で開封する必要があります。

検認とは、簡単に言えば、家庭裁判所に遺言書を持ち込んで裁判所によって遺言内容の証拠保全をしてもらう手続きです。難しく言えば、「法定相続人に対し遺言の存在とその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日における遺言書の内容を明確化して、遺言書の偽造変造を防止する手続」ということになります。

従って、検認は、遺言書の有効・無効の判定とは無関係の手続きです家庭裁判所で検認済みの遺言が裁判で争われることは普通にあります。

ただし、検認を経ていない遺言書は、登記や金融機関の諸手続きで使用できませんので、速やかに手続きを実施してください

検認のやり方
①遺言の保管者または発見者が、被相続人が亡くなったことを知った後、遅滞なく家庭裁判所に申し立てます。 管轄は、亡くなった方の亡くなった住所地を管轄する家庭裁判所です。
②申し立てに必要な書類は、家庭裁判所にあります。
③必要な添付書類として、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本(実際は、除籍謄本や改正原戸籍など)法定相続人の戸籍謄本や住民票などが必要となります。
検認の申し立てが家庭裁判所によって受理されると、しばらくして法定相続人に対して家庭裁判所への出頭通知が来ます。
出頭日に法定相続人は家庭裁判所で一堂に会して、遺言を開封し、裁判所による確認や記録が行われて30分程度で終了します。

次の項目へ(公正証書遺言の作り方を知ろう)

※ご相談は、名古屋市瑞穂区の村瀨司法書士事務所にお任せください。