「レンタル墓」で「短期の供養」をする方が増えていくかもしれません
お墓については、昔からの伝統的な「お墓」による供養から「散骨」や「樹木葬」など新しい様式が考え出され多様化が進んでいます。お墓を新規に建てようとすれば、墓石や区画、工事代などで少なくとも百数十万円程度はかかります。150万円から200万円出しても立派なものは難しい場合があります。
また、既に先祖からの立派なお墓がある方でも、お墓が現在住んでいる場所から離れたところにある場合は「お墓参り」も一苦労になります。高齢になり「墓じまい」を検討される方も増えています。
このような事情から墓を持たない方も増えています。個別の墓を持たない方は、2011年時点で全体の3分の1を占めていたとのことです。それから10年以上経過した現在では、全体の半数以上の方が個別の墓を持たないと言われています。
個別のお墓を持たない方を埋葬する場合、「散骨」や「樹木葬」などを選択しないのであれば、どこかに埋葬する必要があります。「コインロッカー式の納骨堂」に納めて供養してもらう形態が最近は流行っているようです。
比較的交通の便の良いお寺さんなどが納骨堂を立ててサービスを始めている場合が多いと思います。高齢で車椅子の方でもお参りができるようにバリアフリーとなっている施設も多いようです。
納骨堂でも交通の便の良いところにあるものは100万円前後は必要となります。20~30万円程度のリーズナブルなところもありますので情報収集が大切になります。いずれにしても、新規に「お墓」を建てるよりは安価で済みます。
但し、最初に用意する費用 (永代供養料など) 以外に毎年「管理費」や節目ごとに「回忌法要代」が発生します。管理費相場は、年1万円から1万5千円程度です。回忌法要代は、やり方次第で数万円から10数万円程度は必要になります。
( レンタル墓の登場 )
自前のお墓を準備したり納骨堂での供養について負担を感じる方に対して、最近「レンタル墓」の提供をするところが現れました。ある程度(期間)の供養はしたいが、費用的に無理のない範囲で行いたいというニーズに答えたものということができます。
愛知県にある業者の場合、5年間の期限付きでお墓が借りられる「レンタル墓」のサービスを開始しています。5年間の利用料は25万円です。5年の期間が過ぎると他の遺骨と一緒に「合祀」されます。合祀された遺骨は「合祀墓」に入ることになります。
お墓がなく全く供養しないのは忍びない。しかし、永代供養するには負担が大きいと感じる方にとって5年間はしっかり供養を行いたいという希望に沿うことになります。
この業者の場合、レンタル期間は自由に選べる仕組みとのことですが、5年間を選択する人が大半とのことです。3回忌はするが7回忌はしない人が多いことから5年間という期間を選択する方が多いようです。
これ以外にも新しい埋葬や供養の仕方を提案する寺や専門業者が今後増えてくるものと思います。超高齢化社会を迎え、「終活」を考える中で「お墓の在り方」は重要な検討項目になってきます。ご自身としてどのような形態を希望するのか、よく考える必要があります。また、本人の希望を明確にした上で、ご子息などに伝えておくことも必要になります。
「エンディングノート」や「遺言」などを書いて本人の意思を明確にする方法もあります。それぞれの状況に応じて本人の思いを正しく伝えて頂くことが必要になります。