父親名義の「空き家」を相続して売却しようとしたら、「増築部分が未登記」であったときはどうしたら良いですか
父親名義の空き家となった実家を相続したうえで売却しようと考えていたところ、父が生前に増築をしており、その登記がなされていない場合があります。このような場合、そのままの状態で売却できるかどうか悩むことになります。
今回はこのような問題について見ていきます。

( 未登記の増築部分を含む建物の売却について )
増築されているにもかかわらず、その登記を行っていない建物を売却する場合、増築部分の権利関係が不明確となり、後々問題となる場合があります。また、増築により、建築基準法で定められている「建蔽(けんぺい)率」や「容積率」を超過した違法建築物になっている場合があります。
このような建物を売却物件として不動産取引を行う場合、不動産仲介業者にその旨を申し出るとともに、売買契約書や重要事項説明書にその旨を明記する必要があります。
当然、このような物件の場合、買い手が見つかりにくくなる可能性があります。また、買い手が増築部分が未登記であることを了承していたとしても、住宅ローン融資を行う銀行などの貸し出し審査が通らない可能性があります。
このようなことから、父親名義の空き家については、相続登記を行って自分名義にしてから増築部分の表題登記の変更登記を行う必要があります。つまり、建物の現況と相違ない状態に不動産登記簿(記録)を変更してから売却することが望ましいことになります。

( 増築部分の建物表題変更登記とは )
登記されている建物について、増築工事を行い床面積などに変更が生じた場合は、登記名義人は1か月以内に建物の表題部の変更登記をしなければなりません。この変更登記をしないまま建物の所有権が移転した場合は、後に所有権の登記名義人になった者が表題部の変更登記をすることが義務付けられます。
亡くなった父親が生前に増築工事を行い表題部の変更登記を行わなかった場合は、その相続人が名義人になってから1か月以内に表題部の変更登記を行う必要があります。

( 建物表題変更登記をするために必要なもの )
建物表題変更登記は、ご自身で行うこともできますが、通常は土地家屋調査士に依頼することになります。建物表題変更登記をするには、依頼者が増築部分の所有権の名義人であることを証明する必要があります。
建物本体については登記簿(記録)や権利証(登記識別情報)を見れば誰が所有者であることは確認できます。しかし、増築部分については登記されていないわけですから、これらの資料では誰の所有か分かりません。
そこで、通常は、増築時の①確認済証、②検査済証、③工事完了引渡証明書や工事代金の領収書を所有権の証明資料とします。これらの書類には増築部分の名義人が記載されているからです。
仮に何十年も前に増築したようなケースでこれらの書類が紛失している場合は、④固定資産税の納付証明書、⑤その他の資料で所有権を確認できるもの、を準備します。⑤の資料としては、火災保険の加入証や上申書(印鑑証明書付き)などがあります。なお、④や⑤の資料は登記を申請する登記所の登記官に事前に確認する必要があります。
また、今回のケースのように父親名義の建物を相続したケースの場合は、これら資料に加えて、相続を証する情報も準備する必要があります。
具体的には、亡くなった父親の生れてから亡くなるまでの戸籍、住民票(除票)や相続人の戸籍や住民票、相続人全員の遺産分割協議書(印鑑証明書付き)か遺言書などが必要になります。

(「カーポート」の取り扱いについて )
建物の「増築」とは、建物の2階部分を増築するようなケースを想定していますが、よくあるケースとして車庫としての「カーポート」の設置があります。カーポートは、通常、屋根とそれを支える柱によって構成されています。建築基準法の定めによれば、床面積が10㎡を超えるものについては建築確認申請が必要になります。
しかし、カーポートには壁がなく外気分断性がないため、不動産登記法上の「建物」とはみなされていません。従って、「車庫」として登記することができないため、建物表題変更登記を行う必要はありません。

(まとめ)
建物の増改築を行っても表題変更登記を行っていない場合が多いと思います。建物の固定資産税は税務当局が変更登記の有無にかかわらず、勝手に査定して増築部分の課税をしてきますので表題登記の変更をしない場合が多いと思います。
しかし、相続した「空き家」を売却する場合は、登記の状態を現況と一致させておかないと問題となる場合があります。売却を検討されている場合は、不動産業者や土地家屋調査士に事前に相談しておくことをお勧めします。


