お一人様の終活の悩みはいろいろあります
最近は飲食店などで一人で訪れる客を「お一人様」として配慮した接客をする店が多くなりました。一人では入りにくかった店の雰囲気をできるだけ和らげ、一人でも気軽に入ることのでき店づくりを工夫しているのです。世の中のお一人様の増加に対応して営業戦略を考えてのことだと思います。
若い頃のお一人様にも人それぞれに悩みはあると思います。中には深刻に悩まれている方もあるかもしれません。しかし、高齢になってからのお一人様は、深刻な悩みとなってしまう場合があります。自身の終活を考えた場合、悩みはいろいろと広がっていきます。
高齢者のお一人様は、そうなった経緯は色々な事情があると思います。配偶者に先立たれ子供がいない場合。生涯独身の場合。子供はいるが仲が悪い場合。海外など遠方に暮らしていて音信がない場合。子供が引きこもり、ニートとなっている場合。等々、千差万別の理由があると思います。
日々の生活は問題なく送れている高齢者の場合、今現在の生活に不安はないが、自分が亡くなった後のことについて多くの方が漠然とした不安を抱かれています。自分が亡くなったときは、できるだけ親族や他人に迷惑をかけたくないと思っている方が多いと思います。その方にとって、自分が亡くなったら、後は誰がどのように後処理を行うのかを考えると悩みは深くなります。
具体的には、誰でも共通する事項として、葬儀、納骨、埋葬に関すること、家賃や税金、医療費など各種費用の支払に関すること、役所へ各種届出(死亡届、健康保険や年金等の資格喪失届)に関すること、公共料金や電話、カード類などの解約手続きに関することがあります。また、多くの場合、住居内の遺品の整理が必要になります。
さらに、ペットを飼われていた方はペットをどうするか、車を所有されていた方は車をどうするか、パソコンやスマホにデータを保存していた方は、電子情報をどのように削除するか、 など人それぞれで対応事項があると思います。
趣味で大量に収集したミニカーの処分など趣味で集めた収集物の処分も問題になります。また、不動産や金融資産を保有されている方も多いと思いますので、その処分方法も考えなければなりません。
不動産や金融資産の財産類の処分は、遺言書を作成して近親者やお世話になった方に遺贈したり、菩提寺や地方自治体に寄付することが考えられます。しかし、その他の事項は、作業をお願いすることが必要となりますので必要な措置を講じておかない限り、誰も行ってくれません。また、逆に誰も行うことができません。本人の許諾なく亡くなった方の後処理を勝手に行うことはできません。
このような場合に対応するためには、生前に信頼のおける方との間で「死後事務委任契約」を締結しておくと良いと思います。自分が亡くなった後、必要となる事項について、信頼のおける方にその処理を委任する契約です。委任する内容は、人それぞれだと思いますが、正式に処理を委任しておかない限り、誰も処理をすることができません。また、正確性や信頼性が求められる契約ですので公正証書にて作成することが望まれます。
委任された方は、死後事務委任契約の内容に従って、依頼者が亡くなった後、誠実に依頼事務を実施する必要があります。必要な実費費用や委任された方の報酬については契約の中に記載しておきます。近親者であれば無報酬の場合も多いと思います。
また、お一人様なのだから頼める人がいないことも多いかと思います。一定の報酬は掛かりますが、最近は相続問題を専門としている弁護士や司法書士が受任する場合も多くなっています。また、それを専門としている業者もあります。信頼のおける専門家を選定して依頼することも選択肢の一つとなります。
まずは色々と勉強してから考えたいとお考えの方は、お一人で悩んでいても何も解決しませんので、市町村などで実施している無料の法律相談会などを有効活用してご相談されことをお勧めします。とりあえず、悩まず相談されることが必要だと思います。色々なアドバイスを聞いたうえで納得のできる最適な方法を選択してもらいたいと思います。