シニア世代が起業するなら、断然「合同会社」その6
◆合同会社設立についてのデメリット
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合同会社のメリットについて、前回までに回を分けて、ご説明してきましたが、デメリットもご説明致します。1人や少人数で起業するには、大きな欠陥はない優れた制度だと思いますが、まだ世間の知名度がそれほど高くありません。
制度発足後10年以上経過していますので、最近は従来に比べて、少しはポピュラーになってはいますが、知らない人の方が、まだまだ多いと思います。
同じような法人名の問題で、公益社団法人と一般社団法人の問題があります。一般社団法人は、新しくできた会社形態ですが、この両者の区別がついていない方が多いと思います。
そうはいっても、合同会社のメリットはかなり大きいものがあります。世の中には、合同会社形態で大きな会社も結構あります。どうしても、自分は世に知れた会社名にしたいとこだわるのであれば、株式会社の方が良いかもしれません。
よく考えてもらった方が良いと思います。
例えば、果物屋さんや床屋さん、雑貨店や喫茶店、ペットショップ等を法人形態で行いたい場合は、特に会社名は外に出ないと思いますので、合同会社が最適だと思います。
今、合同会社は、急速に設立件数が増えていますので、世間的に違和感がなくなるのもそう遠くはないと思います。
◆合同会社設立時の考慮点 (ポイント)
合同会社は、多くのメリットのある会社形態ですが、その特色の1つである「定款で定めれば、自由に会社運営を行うことができる。」が1つの落とし穴になります。つまり、裏を返せば、定款の定め方が悪いと後々とんでもないことになってしまう恐れがあるということです。
合同会社の会社運営の定めは、会社法で定められています。この定めは、株式会社と違って、相当程度、定款で修正・変更ができます。何も変更を加えなければ、会社法の規制通りの運営となります。
会社法では、会社設立後、「定款を変更するには社員全員の一致が必要と定めています。」1人会社で永遠に運営する会社なら、特に問題となりませんが、将来、社員を加入させる予定がある会社や設立段階から複数の社員がいる会社の場合、この定めはどうでしょうか。
人間2人いれば、2通りの考え方があります。全員一致の規制は、将来的に会社運営に致命傷を与える危険があります。意見が一致しなければ、定款の変更はできませんので、会社の新しい試みや変更は凍結されてしまいます。
また、社員が亡くなった場合、会社法上、その社員は退社扱いになります。相続人に持ち分を譲りたければ、予め定款に定めをしておく必要があります。
このように定款の変更1つとっても法の規制通りが本当に良いのか、厳しく吟味していかなければなりません。会社は設立後の運営が最も大切です。簡単に作れても後々困ってしまうような不細工な作りではどうにもなりません。
よく定款のひな形見本がついたガイドブックどおり定款を作成して、登記に臨む方も拝見しますが、会社法の中身をある程度勉強されて、その定款文言の意味を十分理解されて行っていれば問題ありませんが、安易に考えない方が良いと思います。
自由で任意性の高いものほど、実はうまく使いこなすには、難しいものであることを理解してほしいと思います。自分の行いたい事業内容や規模、会社参加者や今後の発展計画など種々の要因によって、定款の書き方は千差万別に変化する必要があるものなのです。そうゆう意味で、合同会社は、規制がない分、オーダーメイド色が強い会社であることを十分ご理解頂く必要があります。
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