◆協議離婚について
<離婚の意思>
協議離婚は、お互いの話し合いで円満に離婚する手続きです。円満と言っても双方に不満がない訳ではありませんが、双方が相応の譲歩をして、形式的には争いがない状態で離婚をするということです。
離婚の為の最初のステップとして、通常は双方が同時に離婚したいと思うことは稀だと思いますので、いづれか一方が離婚したい思いがある時、相手方に離婚の意思を伝えることから始まります。この意思表示がうまく行きませんと最初の段階から争いのもとになります。
離婚の意思を伝える場合は、その理由を自分自身として明確にしておく事が必要になります。感情的にならないで冷静に分析検討することが必要になります。できれば、一度、離婚したい理由を文書化してみると離婚したい真の理由やその原因事実などが明確になり、感情を冷静に整理することが出来るかもしれません。その結果、やはりどうしても離婚したいと感じた場合は、離婚の条件やタイミングなどもよく検討して、事前準備に着手することが必要になります。
協議離婚を成立させるためには、相手方の「離婚の意思」が絶対条件になりますので、よく話し合いをして相手方の離婚の意思を固めさせる必要があります。その場合の説得の材料として、事前に検討した離婚理由を説明する必要があります。相手に落ち度があり、自分が不幸になっているから離婚したいというスタンスで臨むとうまく行かない可能性が高いと思います。夫婦である以上、お互い一長一短はあるわけですから、自分の足らない点は認めたうえで、夫婦間の現状の課題や問題点を明確にし、「お互いの性格等から今後の改善は期待できないので、離婚によってお互い新しい道を選択した方が双方のメリットになる」ような説得方法がよいかもしれません。いづれにしても第一関門は、相手の「離婚意思の醸成」です。
<離婚の条件>
相手方が離婚の意思を固めた場合は、次は「離婚条件の合意」です。条件のポイントは、子供とお金です。子供がいなければ、お金だけです。
まず、子供ですが、未成年者であれば「親権者」を決定しなければ離婚できません。子供については、お互いが親である点は一生続くわけですから、子供の為に最善となるよう検討する必要があります。合わせて「子供の養育費」についても合意しておく必要があります。親権を持たなくとも子供の養育費負担は生じますので明確に決めておく必要があります。金額の目安としては、「養育費の算定表」がありますので参考にされると良いと思います。義務者(養育費を支払う人)が給与所得者か自営業者か、義務者の年収はいくらか、子供人数は何人か、子供の年齢はいくつか、によってマトリクス表になっていますので簡単に確認することが出来ます。
未成年の子供については、「面会交流」の取り扱いについて決めておいた方が良いと思います。相手方も子供の親である以上、面会することは相手方の権利でもあるわけです。しかし、何も決めておかなければ、自由に面会交流できることになり、不都合な面も生じます。相手方の面会交流の機会を完全に奪うことはできませんが、合理的な制限を双方の合意によってすることはできますので、離婚の条件として面会交流のルールを決めておいた方が良いと思います。月にどの程度の回数面会を許すのか、その面会方法はどのように行うのか等について決めておきます。
そして、最後は「お金の問題」です。子供の生活費は養育費で合意しますが、自身の今後の生活費は、原則、自分自身で考えることになります。その意味で今後の生活費の工面については、十分に計画をしておく必要があります。但し、夫婦間で築き上げてきた財産があるのであれば、その半分は権利がありますので「財産分与」の協議をする必要があります。事前の準備として財産リストを作成しておくことが肝要です。また、年金分割の活用も検討する必要があります。但し、見るべき財産がなければ、協議の余地はありません。「慰謝料」の請求も検討できる場合もありますが、協議離婚の場合は、相手方に相当な落ち度がない限り、合意は難しいと思われます。もちろん不倫等相手方に不法行為があれば、請求すべきではあります。
<協議離婚の手続き>
まず、協議内容の記録化、文書化を行います。何も文書化せずに離婚するケースもあるかと思いますが、協議で決めたことが守られない恐れがありますので、是非、文書化を検討して下さい。文書化のレベルは色々です。協議内容の書かれたメール、会話の録音、メモ書きや念書、離婚協議書や公正証書まで幅広くあります。できれば、書面で離婚条件を箇条書きにし、双方の署名捺印を取得しておきたいです。文書化にあたっては、専門家である弁護士や司法書士に相談されると良いかと思います。最も安心確実なものは、公証人によって協議内容を公正証書にしておくことです。すこし難しいですが、強制執行認諾文言付執行証書の形式で作成すれば、条件違反があれば、直ちに相手方に対して裁判せずに強制執行をすることが可能となります。
次に、離婚届けを作成して役所に提出します。離婚届は、役所にありますが、記載内容に難しい点はありません。氏名や住所、本籍は、住民票や戸籍に記載されている通りに正確に (まったく同じように省略や簡略化しないで) 書きましょう。但し、20歳以上の証人2名の署名捺印が必要になりますので事前に手配しておきましょう。特に誰でも良いので知人・友人・親族でも誰でも良いです。印鑑は、認め印でよいです。
<協議離婚の流れ図>
協議離婚の全体流れ図を示します。
※ご相談は、名古屋市瑞穂区の村瀨司法書士事務所にお任せください。