任意後見契約の具体的な導入事例についてご説明致します。
◆ご家族を任意後見人とする場合
認知症発症前と発症後をトータルにサポートできるように「委任契約」と「任意後見契約」を通常はセットで契約します。
※ 認知症発症前の「委任契約」に基づいて金融機関に対して代理行為を行う場合、金融機関より「代理人届」の提出を求められます。代理人届は届と共に公正証書で作成された「委任契約」「任意後見契約」のセットと任意後見契約がなされ、現在も有効であることを証明する任意後見が記載された登記事項証明書が求められます。
この例では、長女がご本人の代理人として面倒を見る設定としています。
<家族構成>

<契約締結>
・ご契約者は、ご本人と長女です。
・長女を委任契約の受任者とし、任意後見契約の任意後見受任者とします。
・「委任契約」と「任意後見契約」をセットで公正証書により締結します。

・委任契約には、代理する事務の内容を代理権目録として記載します。
・任意後見契約には、後見事務の内容を代理権目録として記載します。
・委任契約、任意後見契約では、受任者(長女)の報酬は無報酬とします。
※報酬が必要な場合は、報酬額を記載することもできます。
・契約締結後、公証人役場より法務局(登記所)に対して、任意後見登記の嘱託がなされます。
<代理権目録の内容例>
1. 財産の管理・保存・処分等に関する事項
2.定期的な収入の受領及び費用の支払に関する事項
3.生活に必要な送金及び物品の購入等に関する事項
4.介護契約その他の福祉サービス利用契約等に関する事項
5.医療に関する事項
上記項目に従って、より具体的に代理する事務内容を記載します。
<契約締結後>
【ご本人が認知症発症前で元気な時】
・ご本人は、従来同様、特に制約はありません。何でもご自身で行うことが出来ます。
・元気な状態で何の問題もなく、その後亡くなられた場合は、契約は終了となります。
【ご本人が認知症発症前だが、怪我をして車椅子状態となった時】
・ご本人は、従来同様、体が許す限り、何でも行うことが出来ます。法律上の制約はありません。
・長女は、金融機関などに「代理人届」を出して、本人の代わりに預貯金の出し入れなど定められた代理事務を行うことが出来ます。
【ご本人が認知症を発症した時】
・長女は、任意後見受任者として家庭裁判所に任意後見監督人の選任申立てを行います。
<任意後見監督人の選任>
・家庭裁判所は、長女からの申し立て内容を確認し任意後見監督人を選任します。
<任意後見の開始>
・長女は定められた代理事務を本人に代わって本人の為に行うことが出来ます。
・定期的に実施内容を任意後見監督人に報告します。
・専門職任意後見監督人の場合、報酬を支払います。
<任意後見の終了>
・ご本人が亡くなる等、契約に定められた事由が発生すれば契約終了となります。
・任意後見人、任意後見監督人は任務終了となります。

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