相続に関する民間資格が最近増えています

相続に関する民間資格が最近増えています。民間資格は、民間団体や個人が資格を創設して認定を行っている資格です。ざっと調べた結果、次のような民間資格がありました。

相続診断士、相続アドバイザー、相続士、相続鑑定士、相続カウンセラー、相続法務指導員、相続マイスター、相続支援コンサルタント、相続ファシリテーター、相続管理士、相続対策プランナー、相続実務コンサルタント、相続コーディネート実務士 など

これ以外にも今後さらに色々と増えていくものと思われます。あまり多くあり過ぎで違いが良く分からない状況となっています。

「私は相続の専門家である〇〇〇〇士です。」「△△△△コンサルタントです。」と言われても一般の方には良く分からない場合が多いと思います。民間資格は、それぞれの主催団体で必要な教育や検定試験を行って資格を認定していますので、主催団体のホームページなどを閲覧して、その資格の特色や得意分野を確認することが必要だと思います。

他方、相続を専門に行っている者には、「士業」といわれる国家資格があります。国家資格とは法律に従って認定される資格のことです。相続関連の業務では、次のような国家資格があります。

弁護士、税理士、司法書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、行政書士 などです。

国家資格は法律で定められた資格ですので簡単に新設されることはありません。従来から資格の新設・変更は頻繁にはされていません。

国家資格は、それぞれの資格の根拠となる法律の中で、業務範囲が明確に定められています。業務内容によっては、「独占業務」を持っており、その資格がなければ該当業務を行うことが法律で禁止されています。この点が民間資格との大きな違いとなります。民間資格には独占業務はありません。

相続業務に関する国家資格と民間資格は、それぞれ得意分野があると思います。それぞれの資格団体では日々研鑽して能力向上を図っています。相続に関して相談や支援が必要な場合は、それぞれの資格の業務内容や特色を確認の上、最も適した専門家に相談すれば良いと思います。

なお、国家資格と民間資格は対応できる業務内容の違いは色々あると思いますが、制度上大きな違いがあります。それは、国家資格には、法令等で厳しい「守秘義務」が課せられていることです。「秘密保持義務」とも言います。相続に関して依頼者から知らされた家族や親族間の情報や事情を他人に漏らすことが法令で厳しく禁止されています。

重大な違反があれば、資格を剥奪されるだけでなく、懲役刑や罰金刑を含む刑罰に処せられることがあります。民間資格では、それぞれの資格創設団体などの内規やルールで処分される場合がありますが、刑罰までは課せられません。

また、職務上、厳しい「服務規定や倫理規定」がそれぞれの国家資格の団体で定められており、これに違反すれば、所管の国務大臣や所属団体等から「懲戒処分」に処せられます。懲戒処分は、戒告レベルのものから資格剥奪まであり、大変厳しい内容となっています。また、処分内容は、官報によって公告され広く国民一般に情報開示されます

これらの点が制度上の違いとなります。相続に関する相談では、家族や親族間の機微な情報が多く含まれますので、法令で担保された厳格な「守秘義務」の存在は、依頼者にとって安心感につながると思います。

国家資格者の対応で常識的に考えておかしいと思うことがあった場合は、所属する団体に相談すると良いと思います。所属団体の服務規定や倫理規定に反する行為の場合は、善処してもらえると思います。

いづれにしても相続に関する専門家が色々とあることは便利なことだと思いますので、ご自身の状況にあった専門家を上手に見つけてもらいたいと思います。

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