「団信」で住宅ローンが消えないことがあるのですか

住宅ローンを利用する場合、通常は「団信」に加入します。団信とは、「団体信用生命保険」のことで、住宅ローンを借りた債務者が返済の途中で亡くなった場合、保険会社が返済を肩代わりするものです。団信に加入して住宅ローンを返済していた方が亡くなった場合、その後の住宅ローンの返済は無くなり、残された家族には返済の負担のない住宅が残されることになります。


金融機関では、住宅ローンの利用には、融資条件として「団信」保険の加入が条件となっています。この保険は、ローン返済中に加入者に万一のことがあり、それ以降の返済に支障をきたす場合、ローン残高と同額の保険金が返済に充てられ、ローンが完済になるというものです。

ところで、この団信にも注意する点があります。住宅ローンがなくなると思っていたところ一部が残ってしまう場合があるのです。その点について考えてみます。


流行のタワマンや都市部の住宅には高額な物件が多くなっています。最近は夫婦でそれぞれしっかり稼いでいる、いわゆる「パワーカップル」の夫婦が多くなっています。高額な住宅ローンであっても、それそれの年収を合算すれば融資を受けることができます。


このとき銀行の住宅ローンの融資形態として、夫が「主な債務者」、妻が「連帯債務者」となって1本の住宅ローンを設定することが多いと思います。この場合、夫が亡くなったときに適用される団信の保険金は、その収入割合に応じた分となり、妻の収入に応じた分に対しては保険金は支払われません。

つまり、団信に加入していても住宅ロ―ンが消えないことがあるのです。この点を注意する必要があるのです。


団信には、3種類の契約形態があります。通常よく利用される形態は、夫が「債務者」で妻が「連帯保証人」の形態です。この形態の場合は、夫が亡くなれば住宅ローンは全て返済され債務は無くなります。この契約形態では住宅ローンが消えないという問題は生じません。この形態の団信契約が従来は主流の形態でした。

2番目の形態は、先ほどのパワーカップルの例で説明した、夫が「主たる債務者」、妻が「連帯債務者」という形態です。パワーカップルの登場により、高額物件の住宅ローンに利用される形で最近増えています。

3番目の形態は、こちらも最近よく見かける「ペアローン」の形態です。これは、夫婦が個別に別々の住宅ローンを契約するものです。債務者は夫婦それぞれとなります。この場合も夫婦のどちらかが亡くなった場合、保険でカバーされるのは自分が債務者となっていた分だけとなり、夫婦の一方のローンは残ります。

このように団信にも色々と種類がありますので確認が必要となります。もちろん、住宅ローンを設定するとき、金融機関の融資担当者から説明があると思います。しかし、通常は、あまり意味が分からないまま、話半分で契約書にサインしていると思います。


ところで、実際に亡くなった場合の住宅ローンの完済方法はどのように行うのでしょうか。具体的には、自宅に設定されている住宅ローン用の抵当権の登記をどのように抹消するかという話です。

(団信による住宅ローンの完済方法について)

手順としては、次のようになります。

(1) 団信の加入状況を住宅ローンの契約書などから確認する。
※不明点があれば金融機関に確認すれば良いでしょう。


(2) 金融機関での完済手続を行う。

  • 金融機関に必要書類の確認を行う。
  • 必要書類や各種届出書を金融機関に提出する。
  • 団信の保険会社で審査が行われる。
  • 保険金が保険会社から金融機関に対して支払われる。
  • 金融機関から「住宅ローンの完済通知」と抵当権抹消に必要な書類が送付される。

(3) 不動産の名義変更 (「相続登記」) を行う。

(4) 抵当権の抹消登記を行う。

最終的には、相続登記や抵当権の抹消登記が必要になりますので、お近くの司法書士に相談すれば、全て対応してくれると思います。


(手続の期限)

団信の請求は3年以内です。ある程度ゆっくり手続きをしても良いですが、毎月の住宅ローンが口座から引き落とされてしまうので、実際には速やかに手続きを行う必要があります。

住宅の相続登記は3年以内に行うことが義務化されました。(令和6年4月1日施行)

住宅ローンの抵当権抹消登記には期限はありません。しかし、抹消しなければいつまでも抵当権という担保が住宅に付いたままとなります。また、あまり放置すると実際に抹消しようとするとき書類が整わないことがあり余分な費用がかかる場合があります。

 

(まとめ)


住宅ローンを設定する場合、金融機関の担当者から「団信」保険の設定を求められ、良く分からないまま契約しています。通常は、保険事故は発生せず、35年の住宅ローンなどを完済して、特に意識することなく契約は終了していきます。

ところが、不幸にして「団信」のお世話になる場合があり、そのときはじめて、この保険のありがたさや問題点が明らかになります。

「団信」保険について、今一度確認して見ると安心かもしれません。

 

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