座り続ける生活スタイルは、死亡率リスクを40%高めるそうです。

デスクワーク中心の仕事をしていると椅子に座って作業をしていることが多いかと思います。所用で外出する時も車を使用すると座った状態が続くことになります。海外の研究機関の報告によると、この座ったままの生活スタイルが健康に非常に悪影響を与えているということだそうです。

下半身は体全体の筋肉の7割程度を保有しています。特に、座って脚の筋肉がほとんど動かない間、「第二の心臓」と言われる「ふくらはぎ」の活動は停止状態に陥ってしまいます。下半身に下りた血液を心臓に押し戻すポンプの働きが停止して、全身に酸素や栄養を送る血流が滞ってしまうとのことです。

血流が滞れば、いわゆる「ドロドロ血」と言われる状態になって血栓ができやすくなります。血栓は、がんを含むあらゆる病気に多く見られる血管トラブルを引き起こします。血栓が脳で詰まれば脳梗塞、心臓で詰まれば心筋梗塞です。

また、下半身には、「太もも」があります。太ももには、人体で最も大きい大腿四頭筋という筋肉があり、この筋肉を動かすことはエネルギー代謝の良し悪しを左右します。太ももの筋肉が活動停止状態に陥ると、糖の代謝に関わる機能や脂肪を分解する酵素の活性が低下するそうです。つまり、血糖値やコレステロール値が上昇して肥満や糖尿病になりやすくなるということです。

オーストラリアの研究機関が座位時間と総死亡リスクについて調査した結果では、「1日の総座位時間が4時間未満の成人に比べて、8~11時間の人だと15%増、11時間以上だと40%増 になる」ということがわかったそうです。

このパーセンテージは、WHOが推奨する1日30分以上のウォーキングやランニングなどの運動を週5日実施していても、相殺できないそうです。

また、世界20か国に対して実施した調査結果では、日本人は世界で最も長く座っている生活スタイルの国ということです。20か国の平均が5時間であるところ日本人は7時間という結果が出ました。元々他の国に比べて働き過ぎのところはありますが、結構大きな差があると思います。

ただ、働き盛りのサラリーマンであれば、もっと座っている気がします。

健康の為には、30分に1回程度の立ち上がり動作が必要とのことです。トイレに行ったり、飲み物を買いに行ったり、コピーを取りに行ったりと意識してこまめに立ち上がることがポイントということになります。

平均寿命が最も長い市区町村は、女性が沖縄県北中城村の89.0歳、男性は横浜市青葉区の83.3歳です。平均寿命が長くても健康寿命が短くては意味がありませんので、要介護や寝たきり状態にならないように健康維持に気を付ける必要があります。

デスクワーク中心のサラリーマンであれば、ある程度は本人の意識付けで対応が出来ると思いますが、職業によっては、そもそも立つことが難しい職種もありますので、会社や組織として何らかの対策も必要かもしれません。

電車や車、飛行機などを運転する仕事、クレーン等の機械操作をする仕事、電話のオペレーターの仕事、銀行や役所等の窓口での仕事、等々立ち上がることが難しい仕事もあるかと思います。

一方、常に立って仕事をしている方も大勢いると思います。店員さん、板前さん、学校の先生、大工さん、営業マン等々。こちらの方々は、この問題の心配は全くありません。

立ち上がることが難しい職種の方は、座ったまま「かかと」を上げ下げする、膝を伸ばして脚を上げる、脚を上げた状態でつま先をまっすぐ伸ばしたり直角に立てたりするなどの運動を取り入れても効果があるようですので、実践されることをお勧めします。

現代は、重役や管理職の偉い方でも、日中ひじ掛けの付いた大きな椅子に深々と腰を掛けて、優雅に仕事が出来る時代ではありませんが、ご自身の健康の為に時々立ち上がって、周りの部下にも立ち上がりを薦めて下さい。

 

Follow me!