シニア世代の就業や独立開業に強力な追い風の予感

政府は、1月16日中長期的な高齢者施策の指針となる「高齢社会対策大綱案」を発表しました。年金の受給開始年齢について70歳以降を選択可能とすることを盛り込んでいます。高齢者の就業促進と年金の給付改善が狙いとのことですが、数値目標も設定し、平成28年時点で63・6%だった60~64歳の就業率を32年に67%まで引き上げる目標を掲げました。

大綱案は、基本的な考え方として「65歳以上を一律に『高齢者』と見る一般的な傾向は、現状に照らせばもはや、現実的なものではなくなりつつある」と指摘し、その上で「年齢による画一化を見直し、全ての年代の人々が希望に応じて意欲、能力を生かして活躍できるエイジレス社会を目指す」としました。

自分の周りを見ても60代はまだまだ元気で働いている方が多いです。70代でも全く年齢を感じさせない働きを見せている方も大勢います。平均寿命が伸び続けている中でシニアの活躍の場を広げる施策は避けては通れないものがあります。

今回の年金の支給開始年齢を70歳以降に選択可能とすることは、シニアの働き方のバリエーションを増やすことになり、うまく活用すれば大変なメリットのある制度改正だと思います。

年金については、制度の信頼性設計に否定的な意見をお持ちの方もいますが、金融の世界では国よりも信頼性格付けの高いものはありません。年金の信頼性が低くとも、国が運営している以上、これに代わる金融商品は、わが国では残念ながらありません。国の年金が信じられない場合は、海外移住するのも良いかもしれません。

今回の大綱で特質すべきは、副業、兼業に関し「労働者の健康確保に留意しつつ、普及促進を図る」とした点と「起業の意欲を有する高齢者に対して日本政策金融公庫の融資を含めた資金調達などの支援を行う」と記した点です。これは、シニア世代にとって大きなビジネスチャンスの到来と考えられます。

大綱案に明記されるという事は、大変な意味があります。政府の政策の根本になるという事です。役人の作る政策は全てこれをベースとして、より具体的な施策に落とし込んでいきます。数値目標が入ったことの意味も大きいと思います。

役人(中央政府の官僚)は数値目標は、何とかこれをクリアしようと努力します。その意味で、数値目標達成の為、ある程度の予算措置もされるはずです。起業時の開業資金の融資枠や金利なども優遇されたものが出て来るような予感がします。思い切った内容となるものを期待したいです。

大綱はまだ案ですが、国会審議の中でシニアの活躍を促進する政策に反対できる野党は少ないと思います。多少の修正変更があったとしても大枠は成立するものと考えます。

現在、まだ現役の若い方も人生100年設計の時代に入りつつある現状を認識する必要があります。サラリーマンの方も定年まで働いて、後は年金生活などと考える時代ではなくなりつつあることを強く認識する必要があります。

会社定年後から、第二、第三の人生が始まるという事を前提に現役時代を過ごす必要があります。具体的には、自分自身の得意分野、専門分野を磨くことです。会社内でのみ評価されるスキルやノウハウではだめです。世の中でも通じる能力を磨く必要があります。また、ある程度の資産の蓄積も必要になります。同時に体力の維持改善にも継続的に行っていく必要があります。

今が精一杯と思う方もいると思いますが、そこから将来に向けた投資を現役時代にどれだけ蓄えられるかが、将来の運命を分けることになるのです。

Follow me!