5人に1人が70歳以上の日本社会とテレビ番組

総務省が9月16日発表した人口推計によると、70歳以上の方が前年から100万人増加して2,618万人となり、総人口の20.7%を占めました。国民の5人に1人が70歳以上という計算になります。ちなみに65歳以上の方は44万人増加して3,557万人となり、総人口の28.1%で国民の3.5人に1人が65歳以上という計算になります。

これだけの人口規模になるとビジネスの世界でもおのずと高齢者向をターゲットとしたものが多くなると思います。政治の世界では、以前より高い投票率の高齢者を如何に囲い込むかが勝つためのポイントでした。現在はビジネスの世界も高齢者を如何に取り込むかが益々重要になっています。

随分前から既に新聞の活字が大きくなったり、文庫本の活字が大きく変わっています。紙情報に親しんできた高齢者向けの対応だと思います。

テレビ番組を見ると、高齢者に受け入れやすい番組が多くなっているように思います。昼の時間帯のワイドショー等も時事問題や事件・事故について、分析的に切り込んでゆく構成が増えてきました。軽い芸能ニュースやショッピング情報、観光やグルメ情報等を紹介するものよりも、話の論点を整理して、内容を専門家も交えて議論する形の番組構成が増えてきたように思います。高齢者は、軽いタッチの番組よりも、ある程度内容のあるものを好むからでしょうか。

また、病気や健康に関する番組も大変増えてきました。病気や健康については、高齢者が最も関心を払うテーマだと思いますので、色々な番組が提供されています。テーマとしては大体同じで、「健康診断の検査値情報と早期発見のポイント」、「体の不調を改善する健康に良い食材と健康体操に関する情報」「乱れた食生活など改善の余地のある生活習慣とその改善策」などに集約されます。

また、若者も取り込める「ダイエット関連の情報」も盛んに提供されています。

番組で紹介される、体の不調を改善する体操をその都度真面目にやっていたら、種類が多すぎて1日では終わらなくなってしまいます。また、番組で紹介される健康に良い食材は種類が多く、結局、普通に何でも食べていた方がバランスが良いような気がします。

健康増進に関するサプリメントの宣伝広告も非常に多くなっています。高齢者の多くは、サプリメントをよく利用し継続率が高いことから、テレビや新聞等の広告媒体は、サプリメントの広告であふれています。

提供される番組内容についても、時代劇や昔のサスペンスものが多くなっています。放送局側の番組予算の問題も大きいと思いますが、昔の番組が再使用されるケースが多くなっています。高齢者は、古い番組でも視聴して頂けるので、放送局側としては助かっているのでしょうか。

但し、このままでいくと益々若者のテレビ離れが加速していくことになると思います。今でも既に多くの若者はテレビをあまり見ていません。スマホやネットの番組を中心に視聴し、テレビを持たない若者も増えています。

若者が興味を持って視聴するものは、「スポーツの実況」、「ドラマ」・「若者向けの映画」、「若者向けの音楽番組」、「お笑い番組」等だと思いますが、放送される相対的な比率は下がってきているのではないでしょうか。

テレビ局側も状況は分かっていると思いますが、少ない予算で効率よく視聴率を稼ぐ為には、高齢者向けの番組にシフトせざるを得ないかもしれません。

テレビの将来がどのようになっていくのか分かりませんが、このままの状況で推移すれば、そう遠くない将来においてテレビというビジネスモデルが成立しなくなる日が来るかもしれません。あるいは、NHK以外の民放局は放送形態を変えて、それぞれが得意の専門番組に細分化して生き残っていくかもしれません。

テレビのテクノロジーは、4K・8K時代に突入しています。進んだテクノロジーを有効活用する為にも、テレビ業界も土俵際で踏ん張ってほしいと思います。

 

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