中小企業の後継ぎ相談が公的仲介センターに急増中

後継ぎ不在に悩む中小企業の譲渡を仲介する全国の「事業引継ぎ支援センター」への相談件数が急増しています。事業引継ぎ支援センターは、中小企業のM&A(事業引継ぎ)を支援する公的相談窓口です。中小企業基盤整備機構が各都道府県単位に支援センタ―を設置して業務にあたっています。

今年の4月から6月で前年同期比4割増しの2587件の相談受付となり、今年度は1万件を突破する勢いとなっています。中小企業では、経営者の高齢化に伴って後継者問題で悩んでいる方が増加していることが分かります。

言わば「中小企業の相続問題」とも言えるこの問題は、従来より発生していましたが、ここに来て急増している要因は、企業経営者の高齢化が急速に進んでいることが原因だと思われます。何もせずに放置して経営者が突然倒れてしまうと企業は大混乱となり、最悪は廃業を余儀なくされてしまいます。

 

中小企業は、わが国の基幹産業を支える大切なインフラである為、中小企業の廃業によって中小企業に蓄積された高度なノウハウや高品質なスキルを持った人材が失われる恐れがあります。中小企業庁の試算によれは、GDPの損失額として今後22兆円を上る可能性もあるとしています。

中小企業の場合、後継者候補としては、①配偶者や子供、②親族、③会社の役員や従業員、④第三者となります。最近は、少子化や親の後を継ぎたくない子供の増加で ①や②の候補者が少なくなっている為、問題となっていると思います。③の役員や従業員への引継ぎでは、業務運営面では不安は少ないと思いますが、譲渡時の資金手当てが問題となります。

会社の業績が良ければ、会社の資産価値 (株式評価額) が高くなりますので資金手当てが難しくなります。金額にもよりますが、中小企業買取資金の融資を民間金融機関は簡単には行ってくれないと思います。逆に業績が悪ければ株価は低く抑えられますが、引受ける役員や従業員が少なくなります。通常、経営者は金融機関から会社の債務の連帯保証をしていますので、その引き受けも問題となります。

会社 (中小企業)のM&Aでは、会社の資産査定 (会社の株式評価)は次の計算式で行います。

<中小企業の資産価値>

資産価値 (株式評価) =「純資産の価値+のれん」

のれん代は、「のれん=(年間営業利益+年間償却費)×2」が、目安とされています。

純資産の価値が変わらないとした場合、営業利益が低下すれば、のれん代が下がり、資産価値は下がります。 逆に、高く売りたければ、営業利益を高めておく必要があります。

 

最後は、結局、会社を丸ごと買い取ってくれる④の第三者によるM&Aということになると思います。但し、簡単にM&Aと言っても中小企業が単独では簡単にできるものではありません。

企業のM&Aによるマッチングは、色々な情報や高度なノウハウが必要です。豊富な企業情報の保有を前提とした高度なマッチング手法、企業資産(株価)の正しい評価、企業合併等の法的手続きの正確な遂行、などが必要となってきます。公的な相談センターに中小企業の相談が殺到しているのも分かる気がします。

事業引継ぎ支援センターのホームページには、『譲渡までの一連の手続きや契約書の作成等をサポート。事業引継ぎ支援センターと専門家(弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、中小企業診断士等)が連携してトラブルのない成約をバックアップします。』となってます。

いずれにしても、公的な仲介支援センターをフル活用して、何とか中小企業を次世代に引き継いでもらいたいと思います。また、現在はまだ積極的に動かれていない中小企業の経営者の方やそのご子息の方も早めの対策を検討することが大切だと思います。多くの従業員の皆さんの今後の生活がかかっていますので。

 

 

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