AIを活用した婚活に政府が財政支援するようです

政府は、AIシステムを活用して地域住民の婚活を支援している自治体に、必要経費の3分の2を補助する方針を固めました。内閣府が来年度予算の概算要求で、AI婚活の必要経費として20億円を計上しました。少子化問題に取り組む自治体に支給する「地域少子化対策重点推進交付金」の対象事業に、AIを活用した婚活支援を指定しました。

国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集(2019年)」によると、生涯未婚率は年々増加傾向にあり、特に最近は増加の勢いが増しています。将来予測を見ても女性が高止まりで安定する傾向が見られるのに対し、男性は増加傾向が当分続くと予測されています。

晩婚化や非婚化の増加は、現在日本が抱えている少子化問題の直接的な原因にもなっています。このような現状を踏まえ、政府は少子化対策の一環として、AI(人工知能)を活用した自治体の婚活支援事業をバックアップするのです。

自治体が婚活支援として結婚を希望する男女を仲介する場合、年齢や学歴、年収などの希望条件に当てはまる相手を紹介する方式が一般的です。これに対して、AIを活用したシステムでは、趣味や価値観などの質問への回答やシステム内の検索傾向などを基にマッチングを行います。仮に、年齢や年収などの希望条件と合致していなくても「自分に好意を抱く可能性のある人」を割り出し、提案することが可能だといいます。

民間では、既にAIを活用した婚活システムが行われています。中には、AIとは名ばかりでコンピュータを使用した単なるマッチングに過ぎないものもありますが、本格的にAIのもつ、「学習・推論・判断」機能を高度に活用したものもあり、徐々に成果を上げて普及し始めています。

AIは、これで完成形のシステムというものではなく、常に学習を継続することにより能力向上を図っていくものです。成約したカップルの情報だけでなく、うまく行かなかった情報も日々取り込んで学習し、システム自体が日々進化していきます。

AIは過去の膨大なマッチング情報を学習して最適な組合せ条件を推論します。その推論を基に最適なカップルを提案します。見合いの結果、うまく行った情報やうまく行かなかった情報をシステムにフィードバックして、さらに推論精度を向上させていきます。

AIは、人の客観的な情報である「年齢」「身長」「年収」以外にも数値化しにくい「人柄」や「価値観」といった情報も収集ができるようになっており、カップルの内面や性格からマッチングを行えるようになっています。

このようにAI婚活は非常に期待できるシステムなのですが、民間のAIを活用した婚活システムは利用料金が高額になる傾向があります。数十万円の費用がかかる場合、誰でも気軽に利用できる状況にはありません。これに対して、自治体が行っている婚活サービスは、1~2万円と低額のものが多いため安心して利用できる反面、AIを活用した先進的なものは少ない状況でした。

自治体でもAIを活用した婚活システムを導入しているところも出始めていることから、政府による財政面からの積極的な支援により、普及を促進していこうとする狙いがあるものと思われます。

AIを活用した婚活システムといっても、最後は人間の複雑な感情や思いがありますのでAI将棋のように100%近く信頼できるものにはならないかもしれません。しかし、上手く活用して生涯未婚率の増加傾向に歯止めをかける有力なツールになることを期待したいと思います。

 

 

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