2019年はリセッション(景気後退)に突入か

2019年は、己亥(つちのとい)のイノシシ年です。「きがい」とも読みます。猪という動物から連想すると「猪突猛進」のような勇ましいイメージを受けるため、勇ましく発展する年になりそうな印象を受けます。

株式相場の有名な格言に、「辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)は辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ、戌(いぬ)笑い、亥(い)固まる、子(ね)は繁盛、丑(うし)つまずき、寅(とら)千里を走り、卯(う)跳ねる」があります。

これによれば、亥(いのしし)年は「固まる」のです。少し以外な感じがします。また、別の相場格言として、「戌亥(いぬい)で仕込み、辰巳(たつみ)で売る」という格言もあります。「亥年は例年株価が安いため、ここで買い注文を入れ、株価が天井をつける辰年、巳年で売りを出せば良い」ことを表します。

同じ意味の格言が多数あります。「戌亥の借金、辰巳で返せ」、「戌亥で買って、辰巳で売れば蔵が建つ」「戌亥買いの辰巳売り」。これらは亥年が景気が低迷することを表していると思います。

勿論、格言には色々な解釈があり得ます。証券会社等では、良い意味として「相場は高値で固まる」「高値安定」と解釈して、営業推進するところも多いと思います。しかし、素直に考えれば、2019年は株価は低迷するという相場格言です。

現在の経済環境をみれば、2019年は改元と言う変化の年となりますが、足元の状況は厳しいものがあると思います。2018年は減速しつつも緩やかな拡大を維持しました。2012年12月に始まった景気回復局面が高度成長期の「いざなぎ景気」を2017年末に超えましたが、引き続き持続しています。

しかし、今後の見通しを考えると、成長は終焉を迎え、景気は減速する可能性が高いと思います。不安要因の一つは、米中の貿易戦争の影響です。中国では米中貿易戦争の影響で既に倒産件数が増加しており、失業者も増加しています。都市部に出稼ぎに来ている農民労働者が田舎に引き上げざるを得ない状況となっています。中国に進出している海外企業や現地企業の多くが、中国から生産拠点を移し始めています。

不安要因の2つ目は、世界各国で始まっている保護主義的な経済政策の拡大です。さらに、米国に代表される一国至上主義の流れです。これらに伴い政治的には「民主主義」や「資本主義」に対する新たな価値観の創出という問題も出てきています。

また、日本で秋に実施される消費税の引き上げも、当然、景気後退を引き起こします。政府の小手先の対策では効果は一時的に留まることが予想されます。増税して景気後退が生じなかったケースは、経験則上、殆んどありません。

企業はこれまでの景気好循環の中で儲けた分の使い道として、従業員への給与は抑制し、株主への配当と内部留保を厚くしてきました。この結果、従業員の賃金水準は低位固定化が進み、消費税の増税に対し生活防衛の為、敏感に反応しやすくなっています。人手不足なのに給与が上がらないという経済の常識から考えて異常な状態が続いています。

一方、企業自体は、今後景気後退期に入っても、これまでに蓄えた手厚い自己資本によって企業倒産に陥るケースは比較的少ないと思います。この点は少し救いになると思います。

現在の景気は、東京地区では、東京五輪関連の建設投資、名古屋地区ではリニア新幹線を見越した建設投資、大阪地区では大阪万博を睨んだ建設投資が暫く続くと思いますが、局地化している為、それ以外の地域での景気減速は、より早く始まると思われます。

国と地方の借金も1000兆円を遥かに超えてしまいました。日銀も緩和政策に行き詰まっているように見えるため、有効な「出口戦略」が描けていません。今の様な金融緩和を継続している限り、景気後退局面での金融政策が殆んど取れない恐れがあります。

そうは言っても、しかし、景気は循環するものです。

暗い気持ちになることは決して悪いことではないと思います。足元の現実を直視し、現実を見据えることも大切なことだと思います。2019年は、今後の成長・飛躍の為の準備期間としての充電期ととらえ、自分自身の内部留保を厚くする年ではないかと思います。

2019年に辛抱して蓄えた力が、必ず次の大きな成長の一歩になり得ると信じて、前向きに歩いていくことが大切ではないかと思います。

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