2019年、名古屋で自動運転の本格的実証実験スタート

車社会の大都市名古屋で本年より本格的自動運転の実証実験が開始されます。名古屋市、トヨタ自動車、ソフトバンクが連携し、バスやタクシーの自動運転などの実証運用試験を行うとのことです。

名古屋市はトヨタ自動車の城下町として、日本の大都市の中でも車利用が日常化している都市の1つです。道路が整備されており、大きな幹線道路が直線で碁盤の目のように続いている都市は他にはないと思います。

半面、交通事故死亡者数は、16年連続ワースト1位の不名誉な状況となっています。警察の懸命の努力によって交通事故死亡者数の絶対数は年々減少していますが、ワースト1位の座は譲っていません。

この名古屋で車の自動運転の本格的実証実験が開始されます。ある意味で車社会名古屋の宿命かもしれません。本年の春から有人車両を使った公道での実証実験を開始し、2027年のリニア中央新幹線の開業を見据えた実用化を進めます。

当面の目標は、2026年に愛知県で開催されるスポーツのアジア大会で選手の移動手段として活用し、世界に自動運転技術をアピールする狙いがあります。2027年以降は、通勤・通学や観光分野での活用や、高齢者や障害者などの交通弱者を対象とした送迎サービスや買い物サービス、食事の宅配等に応用し、市民の暮らしを充実させる手段につなげる計画です。

名古屋市の公道を走行し、道路形状やブレーキ時点、渋滞情報などの生の交通情報を収集し、自動運転技術のの向上に繋げていきます。

AI等のシステムの開発は、大変な時間と労力がかかりますが、何に時間と労力がかかるかと言えば、完成したシステムの「テスト」に時間と体力がかかります。システムの開発工程は普通、①構想(仕様決め)フェーズ、②設計フェーズ、③開発フェース(プログラム作成)、④テストフェーズ、⑤本番導入・移行フェーズに分かれると思います。

この中で④と⑤の工程に多大の時間と体力がかかります。特に、高度なシステム品質が要求される交通管制システムは、その傾向が一層顕著になります。他にも、金融機関のシステム、電気ガスなどの社会インフラシステム、医療関係のシステム等、絶対に誤りが許されないシステムについてもシステムのテストが非常に重要になります。

車の自働運転の中核技術は、自動運転ソフトウェアが担いますので、このテストを繰り返すことになります。テストで出された不具合を1つずつ改修して改良を加え、またテストを繰り返していくという作業になります。

ソフトウェアの改修作業で難しい点は、一部のプログラムを不具合対策で修正した場合、その修正が、従来うまく行っていた機能に悪影響を与えないかを再度確認する必要がある点です。極端に言えば、従来OKであった機能のテストを再度確認しなければならないということです。

自動運転技術の開発は、世界各地や日本の各所でも行われています。ソフトウェアの開発という意味では、開発フェーズまではそれぞれ横一線のレベルではないかと思います。問題は、このテストフェーズを如何に上手に仕上げるかにかかっています。

その為には、より現実の運転環境に近い中で実証実験ができるかにかかってきます。実験が難しい交通量の多い大都市での実証実験は、是非ともクリアしなければならないテスト環境と言うことになります。

自動運転技術が確立し完全な自働運転技術が確立すれば、社会が大きく変わることになると思います。運転免許、車の教習所、自動車保険、バスやタクシー、車の所有からシェア、駐車場、コインパーク、‥‥ 広がりは大変大きいものがあると思います。この変革がもう間もなく8年後に迫っているということです。

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