高齢者の「フレイル」って知っていますか。

「フレイル」という言葉をご存知でしょうか。まだあまり馴染みのない言葉だと思います。

フレイルとは、高齢者の健康状態を表す言葉で、「健常」から「要介護」へ移行する中間の段階を表す言葉です。 具体には、加齢に伴い筋力が衰え、疲れやすくなり家に閉じこもりがちになるなど、年齢を重ねたことで生じやすい衰え全般を指しています

つまり、健康な状態から「虚弱状態(フレイル)」を経て「要介護」状態に移行します。また、適切な治療や支援により、「フレイル」状態から健康な状態に回復するということです。

国は、令和2年度から75歳以上の方を対象にした「新たな検診制度」を導入することを決定しました。どのような検診名称がつけられるか分かりませんが、いわゆる「フレイル検診」が導入されます。検診の目的は、要介護になるのを未然に防止するための助言を行い、要介護者の発生を減少させることです。

高齢者の医療費や介護費用の負担は、年々国家財政を圧迫しており、このまま何もしなければ、早晩、制度自体が成り立たなくなる懸念がある為、国はありとあらゆる知恵を絞っています。「フレイル検診」もまたその一環だと思われます。

検診の具体的な運用方法は、既存の後期高齢者医療制度健診の中に「フレイル健診」を加える方式とするようです。各地方自治体による検診の中で実施されます。

フレイル診断の評価基準としては次の5項目が基準として一般的に使用されています。

1. 体重減少
2. 主観的疲労感
3. 日常生活活動量の減少
4. 身体能力(歩行速度)の減弱
5. 筋力(握力)の低下

具体的な診断は、高齢者が質問票に回答する形で行なうようです。質問項目は次の様なものが想定されます。(介護判定用に開発された「基本チェックリスト」より)

1. バスや電車で1人で外出していますか。
2. 日用品の買物をしていますか。
3. 預貯金の出し入れをしていますか。
4. 友人の家を訪ねていますか。
5. 家族や友人の相談にのっていますか。
6. 階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか。
7. 椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がっていますか。
8. 15分位続けて歩いていますか。
9. この1年間転んだことがありますか。
10. 転倒に対する不安は大きいですか。
11. 6か月間で2~3Kg以上の体重の減少がありましたか。
12. 身長、体重、 BMIの数値
13. 半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか。
14. お茶や汁物でむせることがありますか。
15. 口の渇きが気になりますか。
16. 週に1回以上外出していますか。
17. 前年に比べて外出の回数が減っていますか。
18. 周りの人から「いつも同じことを聞く」などの物忘れがあると言われますか。
19. 自分で電話番号を調べて電話をかけることをしていますか。
20. 今日が何月何日か分からない時がありますか。
21. (ここ2週間)毎日の生活に充実感がないですか。
22. (ここ2週間)これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなりましたか。
23. (ここ2週間)以前は楽にできていたことが今ではおっくうに感じられますか。
24. (ここ2週間)自分が役に立つ人間だと思えないですか。
25. (ここ2週間) わけもなく疲れたような感じがしますか。

これらの判定項目の該当数より診断がなされるものと思われます。これからは「フレイル診断」や「フレイル」という言葉が一般化し馴染みのある言葉となっていくことが予想されます。

ご高齢の方は、上記判定項目を自己チェックして頂いて、また若い方は、ご両親の状態を客観的に判断して頂いて、自分やご両親の「フレイル」状態を早期に把握して頂きたいと思います。該当項目数が多い場合は、専門の医療機関に受診するなど早期に適切な治療行動を取ることが大切だと思います。

「フレイル」状態の場合は、まだ十分に「健常」状態に戻すことが出来る場合が多いからです。ここでも早期発見と早期対策が重要となって来ます。

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