統計不正、今やるべきことは統計法の見直しでは

統計不正が大問題になっています。なされるべき調査がなされていない為、調査された統計結果が不正になり、国としての信頼性が揺らいでいる等と報道されています。

厚生労働省への責任追及や政治的責任を求めることは、違法行為である以上必要ではあると思いますが、問題の本質は、統計法で定められている調査方法の妥当性の確認ではないでしょうか。法で定められた調査手法が時代の状況に合わないのであれば、早急な法律改正を検討すべきであり、その為の国会審議を集中して行ってもらいたいと思います

責任者の追及や政治的責任の追及は、査問委員会等の場で実施すればよく、国会の本業は法律の制定ですので、早急に統計法自体の中身の精査を実施し修正案作りを急ぐべきだと思います。

十数年も前から統計法で定められた統計調査が完全に実施されてこなかった理由を単に現場担当者や責任者のサボタージュであるとして切り捨てることは、問題の本質を見失うと思います。統計法に定められている、例えば「全社面談調査」について、なぜ「サンプル郵送調査」になってしまったのかを現場担当者や責任者の本音を調査する必要があると思います。

調査用の人員が足らない、調査用の予算がついていない等、そもそも法律に要求されている調査ができる態勢が整っていたかどうかをよく見極める必要があると思います。限られた人員や予算の中で可能な限りの精度を保った調査を行っていた可能性があるかもしれません。

統計法という法律は、大変地味な法律だと思います。法案審議の過程も現場の調査態勢まで深く考慮することなく、あるべき論で検討され、特に話題性もないことから世間に注目されることなく成立してきたと思います。

しかし、統計調査による結果は、国家の経済規模や今後の経済予測など一国の重大な指標になるとともに、失業給付や労災給付など個人の生活にも大きな影響が及ぶものです。従来、ある意味で「ノーマーク」であった各種の統計法について、今こそ、その中身について吟味する必要があると思います。国会の審議体力は、その点に集中してほしいと思います

統計調査は、役所の体力とともに企業等の調査体力も相当程度必要になります。現在の様なインターネット等のITが発達した中で「紙」による調査員の「面談」調査に意味が本当にあるのでしょうか。

調査を受ける企業も面談時間の確保など時間を拘束されることには抵抗があると思います。企業の自由な時間にWebにより回答し集計できるシステムを導入した方が、企業も役所も楽だと思います。このことは、調査に膨大な費用(予算)を国民の税金から拠出しなければならない国民にとっても良いことだと思います。

その意味で今国会では、責任者や担当者の責任追及よりも統計法の内容を時代に合った適正なものとする為の審議を行ってもらいたいと思います。内容に改善点があるのであれば、早急な修正案の提供と法案の改正を行って欲しいと思います。 国民の税金で運営されている国会は、国民の生活がより向上できるような法律案の制定が最大のミッションであると思いますので、本来の本業に精力を集中してもらいたいと思います

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