男性も日傘をさす時代になるようです

令和元年5月21日環境省は、日傘の活用推進について報道発表しました。環境省では、『熱中症発症者数の増加が見込まれる初夏から夏季を中心に、夏の熱ストレスを一人ひとりの工夫で低減できる暑さ対策として、暑さ指数の低減効果が比較的高い「日傘」の活用を推進します。』と発表しました。

注目ポイントとしては、男性の日傘の活用を今年から積極的に進めたいようです。女性は、紫外線防止の観点から既に日傘は広く活用されています。紫外線防止の機能付きの傘は数多く登場しています。問題は、男性の日傘の利用です。まだ街中では男性の日傘の利用は殆んど見かけません。

時々、日傘をしている若者を都心などでは見かけることがありますが、中高年の男性の日傘利用は見たことがありません。総務省の狙いは、中高年の男性による日傘の利用による熱中症対策ということになります。

平成30年 (念の為、昨年です)は記録的な酷暑により熱中症による5~9月の救急搬送人員数が統計開始以来最大数を記録するなど、熱中症予防対策の強化は喫緊の課題となっています。令和元年の今年の夏は平年並みの暑さかもしれませんが、5月から30度越えとなる地域が多数出ることは当然予想されます。

日本は既に夏場は「亜熱帯」の気候環境になったとよく言われます。冬に雪が降る日本では、気象学上「亜熱帯地域」には分類できませんか、夏場に限定すれば、ほぼ「亜熱帯地域」になってしまったと言っても過言ではないでしょう。

平成30年11月に閣議決定された「気候変動適応計画」では、暑熱による国民生活への影響が重大性・緊急性等が高いものとして位置づけられており、暑熱に対する適応策(暑さ対策)の推進が求められています。

そこで、熱中症発症者数の増加が見込まれる初夏から夏季を中心に、夏の熱ストレスを一人ひとりの工夫で低減できる暑さ対策として、暑さ指数(WBGT)の低減効果が比較的高い「日傘」の活用推進を目指すことにしたのです。とりわけ、未開拓分野として大きな効果が期待できる男性により日傘利用は大きな目玉施策となります。

人工気象室(気温30℃、湿度50%、日射量1.2kW/㎡、風速0.5m/s)で15分間の歩行運動を2回、男性6名により帽子のみをかぶった場合と日射を99%以上カットする日傘を使った場合との比較を行った結果、汗の量が約17%減ることが分かったそうです。

そうは言っても、中高年の男性が日傘を使用することは、まだ相当な抵抗があると思います。環境省は、積極的なPRをして積極的に男性の日傘利用を推進してもらいたいと思います。テレビやインターネット等を活用して積極的な広報活動をしてもらいたいと思います。

小池百合子東京都知事が大臣在職中に進めた夏場の「クールビス」は、日本にすっかり定着しています。今思えば、クールビスが定着していなかったとしたら、昨年の夏は多くの方が大変な思いをしたことだろうと思います。勿論、ネクタイを締めて酷暑の中で仕事をされる方は大変なご苦労と思います。環境省もこの例を参考に「男性の日傘」が日本中に定着できるように運動してもらいたいと思います。

傘メーカーも大きなビジネスチャンスと捉えてほしいと思います。多くの傘メーカーでは、低価格のビニール傘の登場により市場規模が縮小して苦戦中だと思いますが、熱中症予防用の傘となれば高価格が見込まれ、男性向けの色柄などに創意工夫の余地も大きいと思います。機能と色柄が男性の心をとらえたものを開発すれば、大きな売り上げが期待できそうな分野になると思います。渋くてイケメンの中年男性を起用した傘のCMがテレビなどで今後登場するかもしれません。

日本を取り巻く気象環境の大きな変動の中で出来ることは何でもすることが必要な時代になって来たようです。来年、五輪の開催される暑い東京の街中を男女がそれぞれ日傘をして歩く姿が、世界中に報道される光景を期待したいと思います。

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