来年から個人事業主の代替わり支援優遇税制がはじまります

自民党の2019年の税制改正大綱が発表され、その中に事業承継に悩む個人事業主への対応策として、優遇税制が盛り込まれました。法人である中小企業の経営者向けの代替わり支援税制は2008年度に作られ、必要な改正を行って利便性の向上が図られていますが、今回は法人ではない個人事業主向けの対応策となっています。

ターゲットは、法人化していない家族経営の町工場や個人商店、個人病院、旅館、酒造メーカー等です。法人でない個人の事業主が後継ぎに代を譲って資産を引き継ぐ場合の税負担を緩和する内容となっています。

具体的には、事業用の土地や建物にかかる贈与税や相続税の税負担をなくすという思い切ったものです。事業主が高齢となっているので後継者に事業および事業資産を譲りたいが、贈与税や相続税の問題があり、計画が立てられないで悩むケースが多かったと思います。

今回、この不安を解消するために税制を改正するというものです。但し、来年1月から10年間の時限措置となっていますので、この期間内に承継する必要があります。また、小規模な個人事業主をターゲットとしていますので、事業用の土地面積は400㎡まで、建物は800㎡までの分が税負担ゼロとなります。

また、制度の悪用も十分想定される為、事業主は引継ぎ計画書を作成し、都道府県の確認を受ける手順となっています。税負担ゼロで事業承継した後、すぐに廃業して税負担を免れられないように事業の継続について第三者機関がチェックするという仕組みも創設されています。事業継続が確認できなければ、納税免除は取り消される仕組みです。

これによって、少しでも個人事業主の事業承継が進むことを期待したいと思います。但し、現実の問題は、税負担というお金の問題もあるとは思いますが、最も難しいのは人の問題だと思います。適任の後継者がいないことの方が大きな問題になっていると思います。状況は、中小企業でも同じだと思いますが、個人事業主の場合はより深刻な状況になっていると感じます。

人口自体が減少し、町の商店街がシャッター通りとなっている日本の現状を見ると更なる支援策の検討も必要な気がします。そうはいっても、今回の思い切った制度がうまく活用できるケースに該当する方は、是非、制度を活用して税負担ゼロで事業を承継してもらいたいと思います。

emihid

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