台風15号の上陸によって日本の防災対策は根本から再考すべき時では

令和元年台風15号が千葉県に上陸し、強風により多くの建物の屋根部分が飛ばされ、また木々もなぎ倒されて多くの倒木を発生させました。これにより、道路や送電の機能をマヒさせ、また想定を超える強風により送電用鉄塔も倒壊し、大規模かつ広範囲な停電を生じさせました。

2005年8月末に米国に上陸した超大型ハリケーンカトリーナ」により、今後発生しうる台風の超大型化と大規模災害の発生を全世界に予感させました。あれから14年が経ち地球温暖化による海水温の上昇と、それとの科学的な因果関係は解明されていませんが、世界各地で異常気象が頻発しています。

台風による強風によって多くの木造家屋の屋根瓦が飛ばされ、電柱や送電用の鉄塔が倒され、ゴルフ場の鉄鋼製のネットがなぎ倒されることは、局所的な「竜巻」被害を除いて、日本本土においては、まだ想定外の事だったと思います。

昨年9月4日、関空の連絡橋にタンカーが衝突するという衝撃的な被害が発生した平成30年台風21号は、記憶に新しいと思いますが、人々の感覚として自分自身の問題としては、まだ感じられなかったかもしれません。

台風の襲来を毎年受けている沖縄地方では、建物が台風の強風に耐えられるように建物全体が強固な作りをしています。日本本土においても沖縄地方の建築様式や台風への備えとしての色々な工夫や知恵を参考にすべき時が来ていると思います。

気象庁は、超大型コンピュータの導入により、台風の進路予想精度を大幅に向上しています。鉄道各社が台風に備えた計画運転の実施を行って鉄道被害の発生を抑止してます。これらソフト面の対策は既に始まっていますが、建築物のハード面の強化対策はこれからだと思います。

建物建築基準法の改正建物新築時の各種助成措置について、台風被害への対策にも助成措置を講じることを検討する必要があるのではないでしょうか。

因みに、わが国で発生した過去最大の台風は、1959年(昭和34年)9月26日に紀伊半島潮岬に上陸し、紀伊半島から東海地方を中心とし、ほぼ全国規模で甚大な被害を及ぼした「伊勢湾台風」です。伊勢湾台風も昭和34年「台風15号」でした。

伊勢湾台風は過去最大級の超大型台風でしたが、今回の令和元年台風15号は、規模こそ伊勢湾台風に比べれは小さいものの、非常にコンパクトにまとまっていた為、台風の通過する東側である千葉県に局所的に甚大な被害をもたらしました。今後は、超大型台風と共に、局所的に甚大な被害をもたらすコンパクト台風にも警戒が必要になります。

<令和元年台風15号>

最低気圧                 955hpa
最大風速(気象庁解析)    45m/s (85kt)
最大風速(米軍解析)        115kt
死傷者数(2019.9.17現在)  死者1名
負傷者180名



<昭和34年台風15号> (伊勢湾台風)

最低気圧         895hpa
最大風速(気象庁解析)     75m/s
最大風速(米軍解析)       165kt(約85m/s)
死傷者数  死者4,697名
  行方不明401名
 負傷者38,921名

地球温暖化により海水温が高くなる傾向は、今後も続いていくことは避けられないと思います。毎年日本のどこかで甚大な台風被害が発生する可能性があることを想定の中に入れておかなければならない時代になったということだと思います。

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