修学旅行の行き先に名古屋が入っていないようです

毎年、秋は多くの小中高生が修学旅行に出かけます。今年は、新型コロナの影響により、行き先や三密防止について頭を悩ませている教育関係者の方も多いと思います。修学旅行と言えば、「夜の枕投げ」に象徴されるように子供たちの三密状態は避けられない行事だと思っていましたが、ホテルの個室に泊まるなど色々と三密対策は考えられているようです。

ところで、修学旅行と言えば、行き先として浮かぶのは「京都」、「奈良」です。次に思い浮かぶのは「東京」です。自分の修学旅行先は、小学校は京都、奈良、中学校は東京でした。

各地域によって行き先は色々あると思いますが、京都・奈良・東京は行き先として定番だと思います。

国内中学校の修学旅行の主な行き先について、次のようになっています。

<国内修学旅行の主な行き先>

1位  京都  450件 (23.1%)
2位  奈良  381件 (19.6%)
3位  東京  206件 (10.6%)
4位  大阪  179件 ( 9.2%)
5位  千葉  175件 ( 9.0%)
6位  沖縄   90件 ( 4.6%)
7位  広島   60件 ( 3.1%)
8位  長崎   53件 ( 2.7%)
9位  神奈川  51件 ( 2.6%)
10位  兵庫   41件 (   2.1%)

※2018年度の全国の中学校データ
日本修学旅行協会の資料を基に作成
2020.9.4中日新聞より

現在の修学旅行は、1958年に国が小中学校の正式の教育内容に位置づけたことから、全国的に開始されました。単なる集団旅行ではなく、「普段とは異なる環境で、経験や知識を広めること、自然や文化に親しむこと、集団生活でより良い人間関係を築くこと」が目的・狙いとして定められました。これを受けて各地の学校が、予算や距離を考えて、目的や行き先を決めているということです。

このような経緯から見てみると、「京都」や「奈良」は歴史的な文化に触れる先として上位にくることは納得できます。また、「沖縄」「広島」「長崎」は、平和学習の先として選ばれ易くなっていると思います。「大阪」や「千葉」は、巨大テーマパークの存在から選ばれていると思います。「神奈川」「兵庫」は、東京や大阪の隣接県として選ばれているかもしれません。

この順位表を見て、まず感じることは、「北海道」がないことです。観光先として、沖縄と並んで大人気の北海道が候補地に挙がっていないことは意外な感じがします。自然や文化に親しむ目的からしても大義名分は北海道に十分あると思います。地理的な距離の面もあるかと思いますが、沖縄が6位にランクインしているので距離は理由にはならないと思います。

現在、北海道では北海道への教育旅行誘致を積極的に行っています。誘致活動の成果が出てくれば、ベストテン入りしてくるかもしれません。

次に感じたことは、日本の3大都市の1つ「名古屋」がないことです。名古屋に住んでいますが、修学旅行生を街で見かけたことはありません。東京、大阪、神奈川、兵庫と入っていますが、名古屋はありません。自然と文化面では、色々と誇れるものもあるのですが、イマイチ全国的に知名度がないのかもしれません。積極的に誘致活動を行っている様子もありません。

名古屋は、日本の工業生産が集約している地域です。自動車、工作機械、精密機械、航空産業から宇宙産業まで、わが国の工業生産額で常にトップを誇っています。名古屋港からの輸出額も常にトップとなっています。このような工業中心の都市のため、有名な観光スポットは少ないのかもしれません。

しかし、修学旅行は観光ではありせんので、経験や知識を広めることも目的としてあります。わが国を支える工業生産地域について見聞を深めておくことは、将来においても大切なことだと思います。神社・仏閣を回ったり、テーマパークで仲間と遊ぶことも意義あることだと思いますが、小中高生のうちに巨大な工場や生産現場を見学して感動してもらうことも今後の人生において決して無駄にはならないと思います。

もちろん、名古屋には文化や伝統面で誇れる場所や施設も多くありますので併せて見学してもらいたいと思います。とくに、戦国時代の信長、秀吉、家康関係の史跡は充実しています。食事も「名古屋めし」として有名なものも多くあります。

修学旅行先は、どの学校でも代々行き先は固定になっていると思います。対応される学校関係者から見れば、行き先を変更することは、コースの検討や安全面の確認、宿泊先の確保など、色々と一から検討する必要があるからです。その意味で行き先の候補にしてもらうことは、大変かもしれません。

しかし、今年はコロナの影響で今までのような形での実施は難しくなっていると思います。今年は前例が参考にならない可能性もあるため、新しく候補地を選定する学校も多いと思います。その意味で今年は修学旅行の候補地に入れてもらうチャンスの年だと思います。ここで入れないと当分チャンスは巡ってこないと思います。

名古屋が候補地の1つになることを期待したいと思います。

 

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