コロナ緊急事態宣言「人との接触8割減」は厳しいが、ここが踏ん張りどころ

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、政府は人と人との接触機会を平常時より「極力8割」の削減を目標に掲げ、法律に基づく緊急事態宣言の対象となった東京など7都府県の住民に協力を呼び掛けています。

これは、厚生労働省クラスター対策班の北海道大の西浦博教授(感染症疫学)による試算がベースとなっています。試算は「数理モデル」と呼ばれる手法が使われています。これまでの調査で、感染者一人が平均して2.5人にうつすとされており、これを1人以下に抑え込めば急速な感染拡大を防げると分析しています。夜の街への外出など必ずしも要請に従わない人が一定数いることも考慮して接触を8割減らせば感染拡大が減少に転じるとはじき出されました。

政府の諮問委員会の尾身茂会長は接触削減の効果に関して「感染拡大の終息目途について、8割だと2週間、7割だと2ヶ月以上かかる」と話しています。また6割削減の場合は全く終息されない結果となっています。1~2割違うだけで感染防止の効果は大きく異なるとの分析です。

なお、人との接触削減といっても、人と道ですれ違った程度では接触にはカウントされません。2メートル以内に接近し、二言三言会話を交わすと1回の接触としてカウントされます。人と接触したら1回とカウントするということではありません。

しかし、人との接触削減と言っても、定年退職後の年金生活者など以外の方は、生活の為に働かなければなりません。働きながら8割の人との接触を削減することは大変厳しいものがあります。

事務系のサラリーマンの場合、時差出勤して混雑した電車を避け、会社のエレベータを使用せず、会社の出勤者を交代制で半減させ、社員間の会話や顧客との交渉はメールや電話、テレビ会議で行う等工夫をすれば、ハードルは高いですが、何とか削減できるかもしれません。勿論、昼食は外出せず自席でお弁当を食べることになります。勤務時間も短縮して直帰で自宅に帰ります。

しかし、人との接触が必須の職業も沢山あります。例えば、歯医者さん。治療の為には患者との濃厚接触が必須となります。内科医の場合は、オンライン診療も始まりましたが、手術を行う外科医の場合は難しいと思います。診断の為の問診や検査もオンラインでは難しいと思います。

スーパーのレジも多くの方と接触します。役所や銀行の窓口も接触が避けられません。透明なアクリル板を間仕切りにして業務を行う等の工夫が必要かもしれません。タクシーの運転手、針灸マッサージ、小売店の売り子、など通常多くの職業が人との接触を前提として成り立っています。

飲食店、酒場、各種遊興施設、映画館、スポーツジム、保育園、高齢者介護施設などは、「三密」を避けるためには、多くの対策と工夫が必要となります。

司法書士の仕事もお客様との接触が前提の仕事です。電話で済む相談もありますが、多くの場合は、実際に面談してご本人の意思を確認する必要があります。契約書面への署名捺印も面前で確認する必要があります。緊急事態宣言期間中の業務は限定された範囲となっています。

それぞれの職業で8割削減の難しさは色々だと思いますが、緊急事態宣言が出ている以上日本国民が一丸となって協力することが大切です。コロナ感染対策はできる限り短期間で終わらせるべく頑張る必要があります。6割削減では、永久に感染拡大が終わらなくなってしまいます。何としても削減の効果が見込める8割以上の削減が必要になると思います。

自分が感染した場合、運よく重篤化しない場合でも、数週間から1か月程度は監禁状態となりますので仕事の継続が難しくなります。責任のある立場の場合は、事業の経営上の問題になってしまいます。

今は未知の侵略者である新型コロナと戦う戦時下だと思って臥薪嘗胆の必要があります。 職業は色々あると思いますが、それぞれの立場で可能な限度一杯までの削減努力を期待したいと思います。

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