シニア世代が起業するなら、断然「合同会社」その5

合同会社の登記手続上のメリット
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合同会社は、株式会社など他の法人と同様に会社設立は、商業登記が必要となります。また、会社設立後の商号変更や本店移転、役員変更や支店設置の場合など一定の変更行為に対して商業登記が必要になります。

この商業登記についても合同会社は、株式会社に比べて簡素化されていますので
余分な経費が抑えられます会社を設立した後のことを考えると合同会社はメリットが大きいと思います。

具体的には、まず、役員の登記について、合同会社は業務執行役員と代表社員が登記事項となっています。株式会社では、取締役、代表取締役が登記事項となります。(定めがあれば、監査役や会計参与、会計監査人や執行役等も登記事項となります。) 株式会社では、役員にはそれぞれ任期が定められている為、定期的に商業登記の変更手続きが必要になります。取締役は、通常2年の任期が法定されていますが、定款で定めれば一定の会社では10年まで延長することが出来ます。

合同会社では、業務執行社員や代表社員の任期は法定されていません。従って、役員が在任しているのであれば、永久に役員変更の商業登記をする必要がありません。

次に、会社設立時について、登記手続き上以下のメリットがあります。
① 原始定款の公証人による認証が不要。(既述)
② 設立登記の免許税が安い。(既述)
現物出資について検査役等の調査や資格者による証明が不要。

③の現物出資について、説明します。会社を設立する場合、現金で全額出資することも多いですが、現物で出資することも多くあります。大企業の場合、むしろ現物が重要な出資構成物になることが時々あります。

1人で起業する場合でも、例えば、パソコンや事務机、各種什器備品や車等を出資することがあります。通常の場合、その資産価値は大したことがないので、あまり問題になりませんが、不動産などを出資する場合など資産価値があるものを提供すると話は違ってきます。

株式会社の場合ですと、その価格によっては、裁判所に検査役の選任を申し立て、その出資価格の評価が妥当性かどうかを検証してもらう手続きが必要になります。もちろん、全てを検査役検査とすると負担が大きいので、検査役の検査を受けなくて済むよう、一定の条件に当てはまれば、各種便宜的な取り扱いが用意されていますが、その一定の条件を証明する資料の提供が、場合によっては、必要になります。

検査役の調査費用や各種便宜的な取り扱いにも費用が掛かります。合同会社の場合、この現物出資関係の検査等が不要となっています。

また、少しテクニカルなことですが、出資した金額 (払込金額) について、その2分の1を超えて資本金に計上しなければならない義務はありません。会計上の話ですので、少し分かりにくいと思いますが、株式会社ですと払込金額の2分の1以上は資本金に計上しなければならないという法的な規制があります。

払込金額は、資本金と資本準備金に振り分けることが出来ます。資本金は、会社にとって重要な会計上の金額であり、この金額を基準にして配当などの規制が計算されます。従って、その減少 (資本金を減らして何かに活用すること) については、厳格な手続きが法で定められています。一方、資本準備金になると資本金に比べて規制が緩やかで、ある程度、経営の判断で活用することが認められています。会社法は、株式会社については、出資金額の2分の1超は、必ず資本金に計上せよと定めています。

合同会社では、この規制はありません。資本金対資本準備金の割合を自由に決めることが出来ます。もちろん、取引先からの信用問題もありますので、当然、極端に資本金を減らすことはできませんが、自由度があるということです。

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