一人暮らしをしていた親の相続財産はどのように調べるのですか

一人暮らしをしていた親が亡くなり親の遺産の相続手続を行なうとき最初に困ることは親の財産について不明なことです。親が生前に所有する「財産一覧」などを作成していれば助かるのですが、作成されていることは稀だと思います。そうなると親の財産について調査をする必要がありますが、どのように調査して良いか分からないことが多いと思います。


そこで、今回は亡くなった親の財産の調査方法について考えて見たいと思います。

( 親の自宅などの不動産の調査方法 )

不動産は法務局 ( 登記所 ) で登記されていますので法務局で不動産登記簿を確認すれば不動産の権利関係が判明します。具体的には、法務局に行って自宅などの「登記事項証明書」の請求を行います。

ただし、不動産の登記事項証明書を請求するには、土地や建物を特定する情報が必要になります。土地については所在や地番、建物について所在や地番、家屋番号などです。注意点としては、ここでの所在や地番は私達か普段使っている「住所」とは通常は異なっていることです。

つまり、現住所などを特定情報として登記事項証明書の請求をしてもエラーとなって請求できません。不動産の特定情報である所在や地番などは税務当局から毎年4月に送付されてくる固定資産税の「納税通知書」を見れば確認することができます。また、市町村役場で「名寄帳」を取得すれば、そこにも所在や地番などが記載されています。

これらの情報によって不動産の有無や所在情報を確認することができます。但し、固定資産税の納税通知書による確認の場合は、非課税となっている不動産情報は載っていないことが多いので注意が必要です。名寄せ情報が取得できるのであれば取得して確認する必要があります。

なお、市町村によっては名寄帳を提供していないところがあります。この場合は、亡くなった親の遺品の中から不動産の「権利証」がないかよく確認する必要があります。調査で漏れやすいものとして、「私道」や田舎の「山林」があります。特に私道の場合は「公衆用道路」の指定がされていると非課税となるため漏れやすくなります。


( 預貯金の調査 )

預貯金の調査は、亡くなった親の遺品を確認して「通帳・キャッシュカード」や金融機関からの「通知書」等の郵便物を確認します。そして、該当する金融機関に直接口座の有無や残高を確認することになります。

但し、通帳や通知書等を見て預貯金のある金融機関がほぼ特定できる場合は安易に金融機関に確認しない方が良い場合があります。金融機関としては、死亡情報をキャッチすると該当口座をロックして凍結するからです。公共料金の引き落としなどロックされては不都合なこともあります。

そのため、亡くなった親の財産状況が明らかになり相続方針が概ね固まった時点など、金融機関に正式に照会をする時期は慎重に判断する必要があります。

通帳やキャッシュカード、金融機関からの郵便物が見当たらない場合は、亡くなった親の住所地の近隣の銀行や郵便局に口座の有無を問い合わせることもあります。高齢の親の場合は年金の振込口座が通常あるはずですので調査が必要になります。

 


( 株式等の調査 )

株式や投資信託などの有価証券は、口座のある証券会社や金融機関からの郵便物を確認します。そこに記載のある証券会社や信託銀行などに確認を行います。また、「証券保管振替機構」に照会することで親の証券口座が判明することもあります。

普通預金口座などに配当金の振り込みがある場合は、株式を所有していることが推察されますので証券会社に調査を依頼するなどして銘柄を特定します。

株式等の調査は、証券会社に連絡をしても株式等がロックされたりすることはありません。株式や投資信託などは日々価格が変動するものですのでロックしても意味がありません。証券会社に死亡の連絡をすることの意味は、株式等の財産は相続手続をしない限り名義変更などができないということになります。


( その他財産 )

主な相続財産としては、上述した不動産、預貯金、株式等です。他に「生命保険金」がありますが、これも生命保険会社からの郵便物で確認します。但し、生命保険金は相続財産でありませんので、生命保険契約に定められた「受取人」が自動的に受け取ることになります。

現金、金塊、貴金属その他の重要な財産は銀行の「貸金庫」に保管されていることがあります。口座のある金融機関に貸金庫契約の有無を確認する必要があります。

貸金庫は本人が亡くなった後の開扉は手続きが面倒になります。銀行に開扉手続についてよく確認した上で行う必要があります。相続人の一人が銀行に行っても通常は貸金庫を開扉してくれないと思います。相続人全員の同意書 ( 相続人であることを証明する戸籍等も必要 )  などが必要になると思います。

ビットコインなどの「仮想通貨」なども最近は相続財産として存在します。高齢の方で所有されている方は少ないと思いますが、調査が必要な場合は、亡くなった方のパソコンやスマートフォンなどを調査して「ウオレット」と呼ばれる情報の有無を調査することになります。


( まとめ )

一人暮らしの親が亡くなった場合、普段から接触のない子供などの相続人にとって親の残した相続財産は分からないことが多いと思います。普段から交流があり、財産関係もある程度わかっている場合は良いのですが、全く感知していないことも多いと思います。

親が一人暮らしの場合は、財産を一覧化しておくなどの対応が必要になります。相続人となる子供も折に付け財産に関する情報をそれとなく収集しておくことが必要になります。

「お父さんの取引銀行は三菱UFJだよね」などの簡単な会話で情報報集しておくことが後で大変役立つと思います。

 

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