「株式」や「有価証券」等を「遺産分割協議書」や「遺言書」に書く場合どのように記載すればよいですか

相続手続で遺産分割協議書を書いたり、生前に遺言書を作成する場合、相続財産の書き方には注意する必要があります。適当に書いてしまうと相続財産の「特定」ができなくなり相続手続きができなくなる場合があるからです。

相続財産の中の「不動産」については、相続関係の手引書やネット情報などで記載例が数多く紹介されているため問題は生じていないと思います。しかし、相続財産の中でも比較的よくみられる「株式」や「有価証券」等についてはあまり記載例をみません。

そこで、今回は「相続財産の特定」について、株式や有価証券について見ていきたいと思います。


( 相続財産の「特定」とは )

相続財産の特定とは、相続対象財産を他の財産から明確に区別できる情報の提供ということです。これが不十分ですと相続財産の特定が難しくなります。例えば、遺言書に「裏山は長男に相続させる」と書いてあったり、遺産分割協議書に「自宅は長女が相続し、畑は次男が相続する」などと書いてある場合です。

このような特定の仕方では、相続人である家族は理解できたとしても第三者にはどの財産のことであるか分かりません。不動産の名義変更 (相続登記) は登記所で行いますので、登記官が財産を特定できなければ名義変更はできません。

同様に預貯金や株式等も財産の特定方法がいい加減であると実際に相続手続きを行う銀行や証券会社の担当者が理解できません。その結果、遺産の相続手続きが円滑に進まなくなるのです。

つまり、相続財産の特定とは、相続手続をする銀行や役所の担当の方が理解できる書き方をしなければいけないということです。不動産(土地)であれば、登記事項証明書を確認して、次のように記載します。

所 在  〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目
地 番  〇〇番〇
地 目  宅地
地 積  123.45㎡

次に本題である株式等についての特定方法について見ていきます。


(「上場株式」の特定方法 )

上場株式は次の例のように特定します。

銘柄コード  7203
銘   柄  トヨタ自動車 株式会社
種   類  普通株式
株   数  1,000株
保有 口座  〇〇証券会社

なお、上場株式は2009年(平成21年)1月5日に電子化されています。従来の紙の株券が廃止されて電子化されました。電子化された当時において証券会社で保有(株券電子化)の手続をしていない場合は、その上場株式は株主名簿管理人である信託銀行の「特別口座」に保管管理されています。そのため、この場合は次のように特定します。

銘柄コード  7203
銘   柄  トヨタ自動車 株式会社
種   類  普通株式
株   数  1,000株
保有 口座  三菱UFJ信託銀行 特別口座


(「非上場株式」の特定方法 )

非上場株式は次の例のように特定します。(譲渡制限付株式の場合)

種   類  〇〇株式会社
       本店所在地  〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇
       譲渡制限付株式 
株   数  〇〇株


( その他の有価証券の特定方法 )

「新株予約権 (ストックオプション)」 の特定方法は、次の例のように特定します。

銘       柄  〇〇
種       類  新株予約権
個       数  〇〇個
新株予約権証券番号  〇〇〇〇

「国債」の特定方法は、次の例のように特定します。

銘  柄  個人向け国債
種  類  〇〇金利型〇〇年満期
回  号  第〇〇回債
発行日   令和〇年〇月〇日
償還期限  令和〇年〇月〇日
額面金額  〇〇万円
保有口座  〇〇証券会社


「社債」の特定方法は、次の例のように特定します。

銘  柄  〇〇
種  類  普通社債
回  号  第〇〇回債
発行日   令和〇年〇月〇日
償還期限  令和〇年〇月〇日
券面金額  〇〇万円
保有口座  〇〇証券会社

「投資信託」の特定方法は、次の例のように特定します。

銘  柄  〇〇
口  数  〇〇
保有口座  〇〇証券会社


(まとめ)

相続財産の特定は明確に行う必要があります。今回紹介した記載方法は一例ですので別の特定方法でも特定ができるのであれば問題ないと思います。また、仮に特定方法が不十分であっても追加の資料を提供することによって相続手続きができる場合も多いと思います。

しかし、特定方法が不十分であると相続手続きが円滑に進まなくなり余分な手間と時間がかかります。また、相続人間で特定方法について解釈が分かれてしまうと争いの種になります。

そのため、出来る限り明確に特定しておくことが必要です。なお、相続財産には他にも色々な種類のものがあります。例えば、金塊とか書画骨董、自動車、ブランド品など色々あります。これらの財産を含んだ遺産分割協議書や遺言書の書き方について不安のある方は、相続を専門としている司法書士や弁護士に相談してください。円滑に相続手続きができる特定方法を提示してもらえると思います。

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