水害の恐れがある場所に建物を建てる場合、許可制になるようです

国土交通省は「流域治水関連法案」を閣議決定し、今国会に提出して成立を目指すことになりました。近年、全国各地で水害が激甚化・頻発化しています。気候変動の影響で、今世紀末の洪水発生頻度は20世紀末の2倍に増えると試算されています。


今後、降水量や洪水発生頻度が全国各地で増加することが見込まれることから、ハード面の整備の加速化・充実、治水計画の見直しに加え、河川の上流・下流や本川・支川の流域全体を俯瞰し、国や流域自治体、企業・住民等あらゆる関係者が協働して取り組む「流域治水」の考え方が重要になっています。今回、この流域治水の実効性を高めるため、「流域治水関連法案」が整備されることになりました。


流域治水関連法案では、治水計画の強化や利水ダムの事前放流など氾濫を防ぐための対策に加えて、「被害対象を減少させるための対策」が盛り込まれました。その中で注目されるものとして、「浸水被害防止区域の指定」があります。


浸水被害の危険性の高い「浸水被害防止区域」を都道府県知事が指定し、区域内の開発・建築が事前許可制になるということです。
具体的には、住宅や高齢者施設などを浸水被害防止区域に建築するには、事前の許可が必要となります。

浸水被害防止区域は、①川幅が狭い、②本流と支流の合流部など氾濫しやすい河川周辺です。建物の新築時に居室の高さや強度がチェックされ、場合によっては、敷地のかさ上げといった対策が求められることになります。

また、この対策の事前の予見可能性を高めるために「被害の軽減、早期発見、復興のための対策」が定められています。具体的には、洪水対応ハザードマップの作成対象を中小河川にまで拡大するとしています。浸水想定区域の設定や、避難ルートなどを示すハザードマップは、これまで大きな河川が対象でしたが、都道府県が管理する中小河川にまで拡大することになります。

今回の改正法案は、これらの点以外にも色々な施策が盛り込まれていますが、住宅建築の許可性の導入は注目されます。宅地を購入する場合は、ハザードマップの事前確認が益々重要になってきます。比較的安価なので自宅を建築するために購入した土地が浸水想定区域になっていたため建築に制約が出ては大変なことになります。


不動産購入の際は、購入物件の重要事項としてハザードマップに関する事項の確認が重要になります。
コロナ対応で都市部から周辺地域へ移住される方も増えていますが、山間部で居住を計画される場合は、該当地区のハザートマップを確認することが大切になります。


今年もまた巨大台風や線状降水帯の発生などによる「過去に例のない」洪水が発生するかもしれません。ハザードマップをもとに避難経路など事前の対応策の検討も忘れずに行うことが必要になります。

 

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