離婚後の子供の親権について元夫婦の「共同親権」の検討開始

最近の我が国の離婚件数は、21万6789件 (2016年統計) となっており、年々増加傾向を示しています。これに伴って、子の親権をめぐる元夫婦間の争いや親権を失った親に付与される「面会交流権」の協議の難航などの問題が発生しています。

また、子の親権については、従来より親の子に対する支配権のように考えられていることから、相次ぐ児童虐待の発生に対して、親の親権が行政の介入を阻む盾になっているとの指摘もありました。

このような状況の中で、法務省は親権制度を見直す民法改正の検討を開始しました。来年にも法制審議会(法相の諮問機関)に諮問し法制化を図る見通しとなっています。

今回この見直し案の検討の中で、離婚した夫婦間の子の親権について、「元夫婦による共同親権」の構想が出てきました。つまり、離婚後も元夫婦が従来同様に子供の親権者となるということです。

 

現在の民法では、父母が離婚する場合、どちらかを親権者と定めなければならないと規定しています。しかし、親権を失った親は子どもと交流する機会が制限され、「子の利益」にかなわないケースがあるとの指摘が出ていました。欧米では離婚後も共同親権を採用する国が多いとされています。

子どもが離婚前に虐待を受けていたり、夫婦が子育て方針をめぐって対立したりするケースも想定されるため、共同親権を認めれば「子の利益」を害することになるとの慎重論もあります。

しかし、夫婦の中には、性格の不一致等の理由で比較的円満に離婚するケースもあり、その場合、子の親権について必ず片親の親権 (これを「単独親権」と言います。) にしなければならない理由は乏しいと思われます。元夫婦の間でも親権は共同で行使していも良いと考える場合もあると思います。

 

そのような場合に、子の親権についての選択肢の一つとして「元夫婦による共同親権」があっても良いとは思います。つまり、原則は単独親権だが、夫婦間で了解があれば共同親権も認めるという制度にするということ。

具体的な内容は、これから審議していくと思いますが、内容が子供の親権についてですので論点は多岐に渡ると思います。当初、共同親権でスタートしたのだけれど、途中から色々な事情があって単独親権に変更する必要が生じた時どのようにするか等、考慮点が多いと思います。

親権は2012年施行の改正民法で「子の利益のため」と明記されています。今回の改正作業も子の利益を最優先にしたものにしてもらいたいと思います。

 

 

 

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