スーパーサイエンスハイスクールで高校大学一貫教育始まる

我が国は、科学技術の面で世界をリードする地位を維持してきましたが、ここ最近はその地位が揺らいできています。科学技術に対する研究予算不足の問題や若者の理数系離れ等色々な原因があると思います。ノーベル賞の受賞者こそ最近は日本人が多く受賞していますが、この先は難しいかもしれません。発明や特許件数などの出願件数でも上位を今後も維持できるかは微妙な状況となっています。

このような状況を踏まえ、文部科学省は、科学技術立国の維持・再興を目指して、理数系が得意な高校生について、地域の中核的な大学を拠点として、高校・大学一貫した専門的な教育を行うことのできる制度を創設したようです。

初年度は、モデルケースとして1か所でスタートし、その後数年かけて、数か所に拡大する計画とのことです。具体的には、理数系教育を重点的に行う現行のスーパーサイエンスハイスクール(略して「SSH」と言います。) の枠組みの一部として運用するようです。

SSHは、中高一貫教育をする国立大学の付属校など、平成30年は全国で204の高校(国立・公立・私立)が指定校となっています。この中から対象校が選ばれることになります。

地域の拠点大学とその地域のSSH 5校程度が集まって、文科省に申請し、大学と傘下のSSHが協議会を作って運営していくイメージの様です。拠点大学で高校生に対して特別教育を行うと同時に大学への入学枠を設置し、高大一貫教育を実現します。

優秀な学生については、高校2年生で大学への「飛び級」も現実化するかもしれません。高校から大学まで一貫した切れ目のない教育カリキュラムを組むことができるので、高校3年間、大学4年間を通した計画的な数理系分野の専門教育が可能となり、高度な人材の育成が出来るものと思われます。

 

 

勿論、このような制度に対しては、一部の教育機関や学生に対して予算を集中することになり、教育機関の間で格差が生じるとの懸念があります。この点については、運用の透明性と公平性は当然求められると思います。

現在大学は、少子化の影響を受けて学生が定員に満たない学校も出現しています。今後はさらにこの傾向が拡大することが予想されています。各大学では学生を集めるための創意工夫を必死に模索している状況です。各大学も勝ち残る為の特色のある教育制度設計が望まれます。

スポーツのアジア大会で日本は金メダルラッシュとなっています。東京2020を目指して今後ますますスポーツ熱は高まると思いますが、金メダルラッシュの裏には、日本政府として手掛けたスポーツ振興施策の成果が表れている面があります。、優秀な選手を若い頃より選抜し、十分な訓練の場と必要な環境整備を多額の予算をつけて支援している制度です。ナショナルトレーニングセンターの整備などが良い例だと思います。

我が国が、世界の科学技術の分野で先頭集団を維持していくためには、リーダとなる優秀な人材の確保が必要であり、今回の文科省の新制度への期待は大きいものがあります。国土や資源の少ない日本の生きる道としては、やはり「優秀な頭脳」が重要ということです。

 

Follow me!