◆不在者が相続人にいる場合の相続登記手続の流れ

不在者とは

(1)不在者とは、行方不明者のことです通常「蒸発した。」とか「失踪した。」とか言われる状態です。

(2)単に音信不通である状態は、不在者ではありません「長いこと連絡を取っていない。」とか「ここ最近は、全く親戚付き合いしていない。」は不在者ではありません。

(3)つまり、戸籍や住民票、会社関係等を調査すれば、所在が判明するのであれば不在者ではありません。単に自分が所在を知らないだけの場合も同様です。

不在者財産管理人の選任 

(1)相続人の中に不在者がいる場合は、そのままの状態では遺産分割協議を行うことが出来ませんので、家庭裁判所に対して不在者財産管理人の選任申立てを行う必要があります。

(2)不在者財産管理人は、単に相続登記の為だけに選任されるものではありません。あくまでも不在者の財産を不在期間中管理する職務を持って選任される者です。

(3)その為、不在者財産管理人の選任を申立てる場合には、不在者の管理すべき財産の洗い出し調査を行う必要があります。

(4)また、不在者財産管理人は、不在者の財産管理として、通常の財産の使用や管理等の行為、保存行為は行うことが出来ますが、処分行為のような行為は勝手に行うことが出来ません。

(5)不在者の財産の重要な変更が伴う行為には、家庭裁判所の許可が必要になります

(6)不在者財産管理人が相続人とともに遺産分割協議に参加して遺産分割協議を行うことは、この処分行為に該当しますので、家庭裁判所の許可が必要になりま

(7)また、不在者にとって不利益な内容の遺産分割協議案では、家庭裁判所の許可は出ません。特別な事情があれば、証拠資料等を示して説明する必要があります。

(8)このように不在者の財産管理人の職務は、高度な法律知識が必要な局面も発生しうる為、家庭裁判所は、通常、法律専門家(弁護士・司法書士)を選任する場合が多いと思います。従って、この場合は、専門家への報酬が別途必要になります。

※選任候補者を立てることは申立人の自由ですが、裁判所はこれに拘束されません。

(9)不在者財産管理人は、不在者の代理人として相続人とともに遺産分割協議に参加しますが、遺産分割協議の内容として、不在者の取り分が法定相続分を下回る場合、同意しないものと考えられます特別な事情があれば、分割協議の中で十分話し合う必要があります。

(10)協議がまとまれば、分割内容に従って不動産の相続登記を行います

 

 

※ブログにも関連記事を掲載しています。ブログはこちらへ

「相続登記の当事務所での取扱い方法」に戻る

※ご相談は、名古屋市瑞穂区の村瀨司法書士事務所にお任せください。
◆名古屋市 瑞穂区、熱田区、昭和区、南区、天白区、緑区 等の名古屋市を中心にサービスを提供させて頂いております。