◆裁判離婚について

<裁判離婚とは>
離婚調停が不調に終わった場合、どうしても離婚を設立させたいと思う場合は、裁判離婚を検討する必要があります。但し、これは調停手続きとは異なり裁判手続きですので、離婚調停の様にご自身で対応することは、法的知識があれば別ですが、難しくなります。弁護士の先生にご相談された方が良いと思います。諸般の事情により、どうしてもご自身で裁判を行いたい場合は、司法書士に裁判書類の作成を依頼した方が良いと思います。

離婚訴訟は、裁判ですので、民法の離婚を定める条文の法律要件が充足しているか否かを具体的事実を通して立証活動を行い裁判官に離婚の要件を満たしていると確信させる必要があります。この立証活動が不調に終われば、訴訟は敗訴になり、離婚は成立しません。

裁判の進行は、プロの法律家同士の争いを前提にルールが定められていますので、法律に明るくない一般の方が当事者であっても裁判所はあまり考慮してくれません。もたもたしているとどんどんと手続きは進行していきます。事実の立証活動もテクニカルな技法が必要になってきます。その意味で、専門家に早期にご相談された方が良いと思います。

<裁判の進行>
離婚訴訟も一般の民事訴訟と同じ手続きで進行していきます。管轄の家庭裁判所に訴状他必要書類を添付して訴えを提起します。裁判所が訴状を受理すると第一回期日の呼び出し状が原告・被告に対して送達されます。

訴状が送達された被告は、期日までに訴状に対する答弁書を作成し、原告及び裁判所に送付する必要があります。答弁書では、原告の言い分について認否を行います。認否とは、原告の主張事実について認めるかどうかの意思表示をすることです。また、被告側の主張も行うこともできます。答弁書を受けた原告は、被告の主張に対して認否を行い必要な反論を準備書面として被告及び裁判所に送付します。このような作業を裁判所を交えて繰り返し行い期日を迎えます。

裁判所で行う期日は、口頭弁論期日と呼ばれます。最初の期日は第一回口頭弁論期日です。第一回期日では、訴状や答弁書などの内容ついて陳述を行い、提出されている書証などの証拠調べが実施されます。時間があれば、事前提出済みの準備書面などで争点の確認等が行われます。争点の確認に時間が掛かる場合は、弁論準備手続きや準備的口頭弁論に付されます。

争点が整理され立証すべき事実が明らかっになった時点で、双方からの申し出により証人尋問当事者尋問が口頭弁論期日に実施されます。また、争いの段階を問わず、裁判所より和解の勧告も出されます。

<離婚の成立の為の法律要件>

民法770条には、5つの離婚事由が明記されていますこの離婚事由の成立を裁判官に確信させなければ、離婚は成立しません。その為の必要な立証活動を行います。

①「配偶者に不貞なの行為があったとき」

不倫や浮気です。被告側が認めなければ、具体的事実を立証する必要があります。探偵の張り込みによる証拠写真の提出のような話になります。

②「配偶者から悪意で遺棄されたとき」

遺棄とは、義務を怠ることです。怠った結果がどうなるかも認識している必要があります。配偶者が家庭に生活費を入れない場合や同居を拒むような場合です。悪意かどうかやその理由の正当性が論点になると思います。

③「配偶者の生死が3年以上明らかでないとき」

3年以上配偶者の行方が分からないケースです。立証活動に工夫がいると思います。いないことの証明は、なかなか難しいと思います。

④「配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき」

文字通りの状況を証明する医師の診断書等を提出することになると思います。但し、配偶者がこのような状態になったからと言って裁判所は安易に離婚を認めません。離婚を正当化するだけの相手方配偶者の置かれた過酷な状況や夫婦関係の破綻状況も併せて立証する必要があります。

⑤「その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき」

DV、性的不能、親族との不和、性格の不一致などが原因で夫婦関係が破綻していることです。一般条項ですので何がこれに該当するかは、過去の判例などを参考に検討する必要があります。最終的には、裁判官の判断次第のところがありますが、多くの離婚裁判は、この条項を中心に争いが展開されています。

<離婚裁判の判決後>

証拠調べや証人尋問、本人尋問が終了して口頭弁論が結審すると判決期日になります。判決は、離婚の成立又は不成立を二者択一で判断します。判決内容に不服のある者は、判決送達後2週間以内に高等裁判所に控訴することができます。判決で勝訴した場合は、判決送達後2週間の経過で判決は確定し、その時離婚は成立します。但し、判決確定日から10日以内に役所に離婚届を提出する必要があります。用紙は、協議離婚の用紙を使用します。相手方の署名捺印は不要です。証人も不要です。裁判の判決謄本と確定証明書を添付します。

<裁判離婚の流れ図>
裁判離婚の全体流れ図を示します。

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