◆調停離婚について

<調停離婚とは>
調停離婚は、お互いの話し合いで離婚が設立しない場合に次に進むべき手続きです。裁判による決着を考えている方も事前にこの調停手続きを経る必要があります。(これを「調停前置主義」と言います。) 調停離婚は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることにより開始します。家庭裁判所の調停委員が第三者的な立場として夫婦相互の意見を聞いて、解決策を検討します。話し合いの結果、話がまとまれば、調停離婚が成立します。但し、裁判ではないので手続き進行について強制力はありません。話がまとまらなければ離婚は不成立となります。

<調停離婚のメリット>

調停離婚のメリットは、離婚案件に詳しい専門家である調停委員が第三者的立場で話をしてくれる為、夫婦だけで議論していた場合に比べて、離婚条件等に関する世間常識的なレベルを確認することが出来る為、相互に譲歩の余地が生じやすいことが考えられます。

また、夫婦が相対して話をすることはなく、双方がそれぞれ時間を分けて調停委員に話をするスタイルをとりますので、言いたいことが言いやすい環境となります。調停委員は双方の話を順次聞いて、妥当な解決策を提言してくれます。複数回の面談を通して、合意に向けて調整役を果たしてくれます。

さらに、離婚調停は裁判ではありませんので、ご自身で家庭裁判所に申し立てて開始しても十分手続きを進めることが出来ると思います。ご自身の仕事の関係などで出頭時間が取れないなどの場合は、弁護士に依頼することも考えられますが、そうでなければ、ご自身による手続き進行で十分対応できると思います。どうしても手続き的に不安な方は、調停の申立書等裁判所に提出する書類の作成だけを司法書士に依頼しても良いと思います。

<調停の進行方法>
具体的な調停は、調停委員会という組織で行われます。委員会の構成メンバーは、家事審判官(又は家事調停官)と2名以上の家事調停委員(通常 男女1名づつ)です。家事調停委員が夫婦からの話を聞いて調整をし、話がまとまれば、最終的に家事審判官がその内容を確認して離婚の成立を公証します。具体的には、合意内容に従って「調停調書」が作成されます。これが作成された時点で離婚が成立します。

調停の進行は、1か月から1か月半に1回程度の面談で進行し、早ければ数か月、長いと1年程度の時間がかかります。1回の面談時間は、30分から1時間程度です。ご自身の性格上人前で十分な説明が苦手な方もいると思います。そんな場合は、言いたいことを陳述書として書面にまとめて提出することもできます。書くことが苦手な方は、司法書士に言いたいことを伝えて陳述書の作成だけを依頼しても良いでしょう。但し、制度上、相手方が出頭に応じなければ、調停は不成立となります。但し、理由もなく出頭しない場合は、裁判所から出頭勧告罰金の警告が出されます。

<調停離婚の手続き>

調停離婚は、夫婦関係調停申立書に必要書面を添付して家庭裁判所に申し立てを行います。ポイントは、申し立ての実情欄の記載内容になります。夫婦の現状や離婚を決意するに至った理由や経緯を記載します。管轄の裁判所は、夫婦の居住している住所地を管轄する家庭裁判所です。別居中の場合は、相手方の居住地を基準に管轄を判断します。

調停が受理されますと、後日、夫婦双方に家庭裁判所への呼び出し状が送られてきます。調停に係る時間は、待ち時間などを含めて2時間程度ですが、移動時間などを考えると半日はつぶれますので仕事の都合などで出頭できない場合は、期日の変更を申し出ます。

調停当日、夫婦はまず控室に待機します。夫婦それぞれ別々の控室ですので顔は合わせません。まず申立人が調停委員に調停室に呼ばれて話を聞かれます。次に申立人が控室に戻され、相手方が調停委員に呼ばれ話を聞かれます。この作業を複数回行って、最後に次回の期日を調整して当日は終了です。

調停委員との面談期日を重ねた結果、夫婦間で合意点が見いだされた場合は、調停調書の原案としてまとめられます。次に、調停室に夫婦が一緒に呼び出され、調停審判官(裁判官と考えて良いです) が調停案を夫婦に読み聞かせ異論のないことを確認します。異論がなければ調停調書として完成されます。調停調書は、判決と同一の法律的効果がありますので強力な効果(強制力)が期待できます。

最後には、調停成立から10日以内に役所に離婚届を提出します。用紙は協議離婚の用紙を使って届けます。相手方の署名押印、証人の記載は不要です。家庭裁判所で発行してもらった調停調書謄本を添付します。

<調停離婚の流れ図>
調停離婚の全体流れ図を示します。

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