金融機関が創業資金の融資をする場合何を確認するか
金融機関は、創業資金を貸し出すに際して、色々な観点から会社経営者を確認します。
①「創業の目的」の確認
何の目的で会社を立ち上げるのか。動機を聞かれることが多いと思います。
つまり、経営者の会社設立に対する情熱や真剣さを確認します。
②「業務の経験値」の確認
今回立ち上げる業務について経験がどの程度あるのか。金融機関としては、過去の経験則から未経験分野への新規開業に大変なリスクがあると思っています。未経験分野に進出するのであれば、自分の過去の経験業務やスキル、人脈など今回の起業にどのように役立つか相応の説明を考えておくべきです。
「商品、サービス」の確認
起業して扱う商品やサービスにどの程度の価値があるのか。売れるものかどうか、市場に受け入れられる品質なのか、等最も気にするポイントです。
商品やサービスの持つ魅力の市場へのアピールの仕方(商品名や広告宣伝方法)やその技術力について十分に説明する必要があります。
「事業の計画性」の確認
会社を運営していく以上、行き当たりばったりではいけません。大会社のような中長期計画から詳細な短期計画までは必要ありませんが、会社の方針については、少なくとも今後3年間程度の計画(1年後はこうなりたい、2年後はこうしたい程度のものでもないよりはあった方が良い)は必要です。商品・サービスなどの販売・売り上げ計画は、理由付けと数字の詳細化が必要です。
経営者の経営マインド」の確認
企業を運営していく以上会社経営のノウハウは必須です。特に、財務や会計に関するスキルは大切です。細かい税務申告などは税理士に任せても良いですが、会社が今儲かっているか、この先どうかを確認できるノウハウが必要です。「借入金の返済資金はどうやって計算するのか。」「キッシュフローって何だ」「減価償却費は収益か」など金融機関の担当者と話をする場合、最低限の財務会計の知識がないと話になりません。

いくらまで金融機関は貸してくれるか
まず、金融機関としては、次の式で返済能力(年間)を確認します。
年間の減価償却費+年間の利益-年間の税金」これが1年間で返済できる金額となります。この金額で借り入れ額を割れば返済期間が出ます。
それぞれの項目の算出方法や意味が分からなければ、勉強して頂くしかありません。

但し、創業時の融資の場合は、この計算式は使えませんので、自己資金を基準に借り入れ上限を設定していると思います。
① 日本政策金融公庫     自己資金の2倍
② 地方自治体の制度融資   自己資金まで

創業後、金融機関は何を見ているか
金融機関は、貸した資金の回収に問題が生じないかを常に気にしています。
具体的には、返済原資に問題がないかを見ています。返済原資は、「キャッシュー」から判断します。
キャッシュフローとは、利益 (税引き後の当期利益) + 減価償却費 です。
キャッシュフローの動きこそ金融機関がウォッチしているポイントです。

創業初年度は赤字のことが多いと思いますが、2年目に黒字転換し、3年目から赤字から脱却する計画であれば、その計画通りの推移であれば、赤字であっても問題ないと思います。その意味で、金融機関とも事前に事業計画を丁寧に説明しておく必要があります。

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