④ 高齢者のアパート経営の引継ぎ及び相続

◆家族信託の内容について、事例ケース毎のご説明を致します。 ※家族信託の一般的な説明や手順、費用は、こちらをご覧下さい。 

<困っている課題・問題>

・高齢者の山田太郎さんは、賃貸アパートと有価証券を保有しています。山田さんには、長男の健一さんと長女の花子さんがいます。

・山田さんは高齢となってきたことから、賃貸アパートの運営管理が徐々に困難になってきました。また、同様に有価証券の投資管理も億劫になってきました。

・今後、自身が認知症などを発症した場合、アパート経営等に不安があります。

<現在の状況>

<家族信託を活用した場合>

家族信託で実現したいこと

・賃貸アパートの経営及び投資有価証券の管理を長男の健一さんに任せたい。
・賃貸アパートや投資有価証券から得られる収益は、山田さんの生活費に使用したい。
・山田さんが将来認知症などになった場合、介護費や医療費にも充てたい。
・将来、山田が亡くなった場合は、賃貸不動産は長男の健一さんに投資有価証券は長女の花子さんに相続させたい。

家族信託での対応方法

・山田さんを「委託者」兼「受益者」、長男の健一さんを「受託者」とする民事信託契約 (家族信託契約) を締結する。

・「信託財産」を賃貸マンションと投資有価証券とする。

・山田さんから長男の健一さんへ「信託する内容」を次のとおり定める。

①長男の健一さんは、賃貸アパートの経営管理及び投資有価証券の投資管理を行う。
②長男の健一さんは、賃貸不動産の管理を専門の第三者に依頼することができる。
③長男の健一さんは、賃貸アパートと投資有価証券から得られた収益を山田さんの生活費、医療費、介護費に支出する。
長男健一さんの信託報酬は無償とする
⑤信託終了日を山田さんの死亡日とする。
⑥信託終了時の財産の帰属権利者は、賃貸不動産は長男健一さんに、投資有価証券は長女の花子さんとする。

<家族信託後のイメージ>

<山田さん死亡後のイメージ>

⑤ 後継ぎ遺贈型受益者連続信託

<困っている課題・問題>

・高齢者の山田太郎さん(87才)は、再婚した妻の純子さん(82才)と暮らしています。
・妻の純子さんは、最近、認知症の症状が出てきています。

・山田さんの保有資産は、自宅と十分な額の金融資産があります。

・山田さんには、先妻の山田良子さんとの間に長男健一さん(65才)と次男修二さん(62才)がいます。
・長男の健一さんは、妻の加奈子さんとの間に一郎さん(40才)がいます。
・次男の修二さん(62才)は、独身で難病の為長期入院しています。

・山田さんは、将来自分が認知症になった場合の資産の管理や妻の介護、次男修二さんの今後について不安を感じています。

・山田さんは、自分が亡くなった後の資産は、最終的には長男の血筋に受け継いでほしいと考えています。後妻の相続人には渡したくないと思っています。

<現在の状況>

<家族信託を活用した場合>

家族信託で実現したいこと

・自宅や金融資産の管理を長男の健一さんに任せる。
・長男の健一さんは、父の自宅を管理し父親夫婦が快適に生活できるようにする。
・長男の健一さんは、金融資産を運用し、父親に対して生活費や医療費など必要費を支出する。
・長男の健一さんは、父死亡後、父の自宅や金融資産を引続き管理し、後妻の純子さんが快適に生活できるように住宅に引続き居住させ、また生活費や介護費など必要な費用を支出する。
・長男の健一さんは、後妻の純子さんが亡くなった後も、自宅や金融資産を引続き管理し、次男の修二さん為に療養費等の支出をする。
・次男の修二さんが亡くなった時、信託は終了する。
・信託終了時に残った自宅や金融資産は、長男の健一さんが承継する。
・長男健一さんが信託が終了する前に亡くなった場合は、孫の一郎さんが健一さんを引継ぎ最終的な自宅や金融資産を承継する。

家族信託での対応方法

・山田さんを「委託者」兼「第一次受益者」、後妻の純子さんを「第二次受益者」、次男の修二さんを「第三次受益者」とし、長男の健一さんを「受託者」とする民事信託契約 (家族信託契約) を締結する

・「信託財産」を自宅と金融資産とする。

・山田さんから長男の健一さんへ「信託する内容」を次のとおり定める。

①長男の健一さんは、自宅と金融資産の管理・運用を行う。
②長男の健一さんは、山田さん夫婦が自宅で快適に暮らせるようにする。
③長男の健一さんは、金融資産を運用し、山田さんの生活費、医療費、介護費に支出する。
④長男の健一さんは、山田さんが亡くなった後も自宅と金融資産の管理・運用を継続する。
⑤長男の健一さんは、後妻の純子さんが自宅で快適に暮らせるようにする。また、必要な生活費、介護費、医療費を金融資産の中から支出する。
⑥長男の健一さんは、後妻の純子さんが亡くなった後も自宅と金融資産の管理・運用を継続する。
⑦長男の健一さんは、次男の修二さんの為に金融資産の中から療養費を支出する。
⑧後妻の純子さんと次男の修二さんが亡くなった時を信託終了日とする。
⑨信託終了時に残存する自宅及び金融資産の帰属は、長男の健一さんとする。
⑩信託終了前に長男健一さんが亡くなった場合は、孫の山田一郎さんが長男健一さんの地位を承継し、資産の最終帰属者とする。
⑪長男健一さんらの信託報酬は無償とする。

<家族信託後のイメージ>


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