火山噴火またも「ノーマーク」で被害発生

草津白根山のスキー場で火山噴火が発生し、自衛隊員1人の殉職を含む大勢の観光客の方々が負傷しました。負傷しなかった方も噴石の落下によって、死の恐怖を味わっており、精神的に大きな傷を受けたことと想像できます。自衛隊員のご冥福と負傷され方々の一日も早い回復を願います。

当日のスキー場は、前日の大雪の関係で交通機関の運行状況が悪かった影響で比較的入場者が少なかった模様です。もし、前日が晴天だったら、スキー客はもっと大勢となっており、さらに大変な数の被害が出るところでした。当日スキーを計画していて前日の大雪の為、出発を諦めた方も多いと思います。

火山の噴火といえば、2014年の御嶽山の噴火を思い出します。当時は、63名の犠牲者を出しました。その時も今回と同様、噴火警戒レベルは1でした。完全にノーマークの状態の中で何も知らない大勢の方が亡くなりました。

噴石は、通常のもので毎秒100mから早いもので200mだそうです。時速に直せば、360kmから720kmです。とても速い速度です。新幹線の最高速度が300km程度ですので超高速の速さで降り注いできます。テレビ映像で見るのと実際に降り注がれた方の印象は相当異なっていると思います。

それにしても、火山・地震列島の日本で発生する最近の大災害は、想定外やノーマークのものが多いような気がします。今回の噴火も近くの別の火口(湯釜地区)に監視機器を重点配置していたそうです。阪神大震災や東北大震災、九州熊本地震や御岳山の噴火、今回の白根山の噴火など完全に裏をかかれたような状態が続いています。

地震学者は、予知を諦めて発生時の被害極小化対策に重点を移しているように思います。地震学者の皆さんには、是非、地震予知の研究を諦めずに行ってほしいと願っています。

一方、火山学者は、噴火予知は一定の前兆現象が起こる為、一定程度は可能と見ているようです。しかし、今回の様に観測体制を引いていなければ予知は難しいと思います。火山学者は日本には1,000名程度はおられるようですが、火山活動を実際に観測、監視活動を行っている先生は、ほんの一握りの方だけと聞いています。火山噴火の予知に向けて必要な人材を厚くしていく必要があると思います。

世界でも稀にみる火山・地震列島の日本では、地震や火山活動の研究を世界最先端の水準で進めていく必要があります。しかし、必要な人材は中々集まらないようです。今年の大学入試について、センター試験の理科の分野の出願者数を見てみますと以下の通りです。

生物Ⅰ 190,693名 化学Ⅰ 213,757名 物理Ⅰ 152,627名 地学Ⅰ  25,231名

地学を取る受験生は、桁違いに少ないです。もう少し人気が出ないと研究者の拡大は難しいように思えます。但し、地学を取る学生は、地学に本当に興味を持っている研究者タイプの方が、ほかの科目に比べて多いような気がします。将来研究者の道に進まれる方も多いと思いますので期待したいと思います。しかし、何といっても絶対数は増やす必要があります。

現在、噴火警戒レベル3の火山は、草津白根山、霧島山(新燃岳)、口永良部島、桜島の4か所です。山に観光に行かれる方は、気象庁のホームページで噴火警戒レベルを確認して、行かれる方が良いと思います。但し、絶対ではありませんので「想定外」の用心は必要です。

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