大阪北部地震にみる南海トラフ地震への対応

6月18日に発生した大阪北部地震は、マグネチュード6.1、最大震度6弱という880万都市の大阪を含む大都市で起きた直下型地震としては、1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災以来となりました。

6月19日現在、死者5名、負傷305名、火災の発生7件となっています。またまだ余震は続いており、更なる強震の発生も予想される為、警戒が必要な状況となっています。

亡くなられた方には、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

今回の地震は、都市直下型地震の発生に対して多くの課題が見えてきた一方で、発生した時刻や大都市直下で発生したことを考えると、かなり被害は極小化されたのではないかと思います。

確かに、多くの人々が鉄道やエレベータに閉じ込められ、交通は完全にマヒ状態になりました。陥没した道路や倒壊した煙突、倒れたブロック塀や溢れる水道管など状況はひどいことになっています。

しかし、朝の食事時の地震の発生で火災の発生7件は少ないと思います。大きな延焼もなく鎮火することが出来ました。大きなビルの倒壊もなく、高速道路は完全に無事でした。震央の近くを通る新幹線も脱線していません。地下鉄、私鉄、JRも地震による脱線等の事故は発生していません。

 

関西の各都市は、阪神大震災を経験しています。この経験から、多くの耐震施策が実施されてきました。その多くは、地道な作業の積み重ねであると思いますが、ここに来てその有効性が確認されたのではないでしょうか。

大阪ガスは、阪神大震災以来、揺れを感知してガス供給を止めるガス自動遮断装置を関西二府四県のほぼ全戸に設置しています。耐震化ガス管の導入も進め87%まで設置率を向上しています。

高速道路も阪神高速道路各社はコンクリートの橋脚に鋼鉄を巻き付ける耐震補強を推進してきています。エレベータも地震感知装置の設置が進んでいます。

鉄道各社も早期に揺れを感知して列車を速やかに停止する機構を整備して、その運用精度を向上してきています。電気の供給は、一部地域で大規模停電が発生しましたが、範囲も限定され、比較的早く復旧できています。

家屋の倒壊も比較的少なかったと思います。家屋の耐震化も少しずつではありますが、進んで来ているのでしょう。

地震発生時の列車の緊急停止やガスの供給停止、エレベータの停止等、その場は大変な不便が発生し、その回復には多大な時間が掛かりますが、社会的インフラの大規模な被害の発生は防ぐことが出来ています。

確かに課題はまたまだ多くあります。特に水道管については、耐震化された水道管への交換作業が、どの自治体でも遅れています。水道管は設置距離が長い為、簡単には耐震化できない課題があります。

都市部での出勤・帰宅困難者の大量発生、外国人への避難誘導、SNSによるデマ情報の拡散、危険なブロック塀の問題、など解決すべき課題は多くありますが、少し落ち着いたら、今回の地震の教訓をもとに更なる地震対策の推進を行う必要があります。

今後の発生が確実な南海トラフ大地震の発生に備え、今回の大阪北部地震は多くのことを教えてくれていると思います。耐震化への地道な努力は、効果が相当期待できることがはっきりしました。今後とも耐震化への努力は決して無駄にならないと思います。

最近の地震の発生個所は、予想外のところで発生しています。地震発生確率も全くあてにならない気もしています。何か裏をかかれているようです。東北大震災、熊本地震、大阪北部地震と地震の発生を予測していない場所でこれだけ発生しています。

しかし、南海トラフ大地震は、必ず発生します。東海地震の単発となるか3連動地震となるかは分かりませんが、必ず発生する以上、各家庭や各企業、政府はそれぞれの持ち場で耐震化への不断の努力を続けていく必要があります。

 

 

 

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