リニア中央新幹線、2027年開業は大丈夫か。

リニア中央新幹線の工事が進んでいます。リニア中央新幹線は、東京・名古屋・大阪間の東海道新幹線の過密輸送状況の緩和を目的に開発が始まりました。また、近い将来発生するとされる南海トラフ巨大地震発生時のバックアップ路線としての位置付けとしても開発が進められています。

南海トラフ巨大地震は、静岡県から宮崎県沖まで伸びる南海トラフ沿いで東海、東南海、南海の3震源域で同時に大地震が起き、最大34メートルの大津波が本州南岸に押し寄せると想定されています。東海道新幹線の軌道域は、丁度、この津波の進入域に重なっている為、地震発生時は、東海道新幹線は完全に津波に飲み込まれる恐れがあります。

折しも、南海トラフ地震の今後30年間の発生確率が70%から80%に引き上げられたばかりです。危機は確実に近づいていますので、リニア中央新幹線の開業が急がれます。

昭和39年に開業した現在の東海道新幹線は、最近想定外の事故が発生しています。一つ間違えば、大事故に繋がる重大インシデントが発生しています。やはり、交通インフラの老朽化への対策は待ったなしの状況であると思います。その意味で、仮に大規模改修の必要性が発生した場合でも代替路線の存在の意味は大きいと思います。

開発が急がれるリニア中央新幹線の開業に今黄色信号がともっています。リニア中央新幹線建設工事をめぐるゼネコン大手4社による談合事件が摘発され、現在、東京地検特捜部による捜査が進められる一方で工事への遅れが懸念されています。

JR東海は「工期への影響は想定していない」と強調していますが、各社が刑事訴追されれば受注資格を制限せざるを得ない状況となり、影響は避けられない恐れがあります。

今回、工事を受注しているのは、国内で最高の技術力を持った大手ゼネコン4社です。俗に「スーパーゼネコン」と言われる4社は、難工事に対する高度なスキルと経験を保有しており、今回の工事を代替できる業者は、日本国内には他にはいないと思われます。標高3千メートル級の山々を貫く「南アルプストンネル」や、地下40メートル以上の「大深度地下」に軌道を建設する品川、名古屋両駅の「3大難所」が存在します。

今後の事件の展開としては、公正取引委員会から刑事告発を受け、検察がゼネコン4社を独占禁止法違反容疑で起訴し、有罪の刑事処分が出る可能性があります。また、談合事件の場合、併せて、排除命令や課徴金納付命令が行政処分として出されることが一般的です。

今回は、発注元がJR 東海という民間企業の為、公共事業の様な指名停止という処分をとる必要性は必ずしもないと思われますが、大企業としての社会的責任を果たす意味で何らかの制裁を科さざるを得ないと思います。但し、仮に4社を指名停止処分にすれば、工事は完全に停止してしまいますので現実的ではないと思います。

名古屋では、2027年開業を睨んで名古屋駅とその周辺では、開発ラッシュが起きています。名古屋駅前は、高層ビル群が林立し以前とは全く違う景色となりつつあります。開業時期が少しでも遅れるようなことになるとその影響は大きなものとなります。東京の品川でも同様の状況だと思います。大阪への全面開通時期も併せて遅れる事となり、影響はさらに拡大していきます。

今回の検察の捜査では、一部ゼネコンが司法取引の様な供述をして話題になりましたが、今後の検察の捜査の進展を注視していきたいと思います。JR東海も指名停止処分以外の制裁を「大人の知恵」で捻りだすかもしれません。

何としても東京名古屋間を40分で結ぶリニア中央新幹線の開業を計画通り進めてもらいたいと思います。

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