離婚時の子の強制引渡し方法が変更される可能性

現在、離婚に伴って子供の引渡しが命じられた場合、引渡しを命じる判決に応じない場合の強制執行手続きを定めた規定がありません。やむを得ず、差押えなど不動産以外の物として動産執行の手続で運用しています。

しかし、子供を動産(物)として扱うことには、批判が強く従来より規定の新設が求められていました。この問題を議論していた法務省の法制審議会の民事執行法部会が、この問題についての改正案を検討していることが判明しました。

 

 

その中で、最も議論となった点が、子供の引渡し命令執行時、引渡し現場に引渡しを命じられた親がいる必要があるかどうかでした。現在の運用方法は、同居する親が引渡の現場にいることを必要としています。この点について、同居する親が現場にいなくても引渡し執行が可能となる方向で検討が進められています。

 

子供の強制引渡しは、子供にとっても精神的に大きな影響を受ける恐れがあることから慎重に検討する必要のある事柄です。従来の運用の考えは、子供の人権保護に関する「ハーグ条約」の考え方に沿ったものでした。

 

改正案の考え方は、現在同居する親が不在で引渡しが出来ないケースがある点や引渡し執行を不発に終わらさせるためにわざと親が姿を消す場合がある点が挙げられています。

同居する親が不在でも引き渡される側の親がいれば、強制執行を可能とする内容で改正が検討されています。

 

現行法での運用では、執行官は現場で同居する親の理解を得る努力をして引渡し執行を実行しています。但し、親の理解を得られないケースも多く、執行を断念するケースも多くみられます。

 

判決で子供の引渡し命令という勝訴判決をもらっても、執行が出来ないのは、それはそれで公平性を欠きます。裁判手続き(離婚裁判)の中では、子供の幸福を最優先にして、子にとって最も良い親を客観的に判断しているはずですから、それを実現することも大切です。

 

大変難しく重い議論です。民事執行法部会は、この改正要綱案を今年の秋にも答申する予定です。来年の国会での議論を注目する必要があります。

 

 

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