カジノの誘致には候補地の住民投票を条件にすべきでは

カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案は7月20日午後の参院本会議で、与党と日本維新の会などの賛成多数で可決・成立しました。IRの施設数は当面、全国3カ所までとし、ギャンブル依存症の対策として、日本人客の入場回数は週3日、月10日までに限るほか、1日あたり6000円の入場料を取ることになりました。

成立した法律では、IR開業までの一連の手続きを定めています。自治体の申請や国の認定を経て、第1弾が開業するのは2020年代半ばになると見込まれています。誘致に積極的な各自治体の動きは、法案成立前より既に活発化しています。法案が正式に成立したことから、模様眺めの自治体も今後相次いで参加表明が出て来ると思います。

 

カジノ事業者は収益の30%を納付金として納め、納付金は国と施設がある都道府県で折半して、観光振興や福祉などの公益事業に充てることが出来ます。過疎化による税収不足に頭を悩ませている地方自治体にとって、収益の15%の納付金は魅力的です。

現在、誘致候補先として、北海道、東京、神奈川、愛知、和歌山、大阪、長崎、沖縄などが誘致を積極的に進めていたり、事前準備を進めているようです。今後も増える勢いだと思います。

 

今後の誘致先選定にとって重要なポイントとなるのが、国土交通大臣が今後策定する整備区域の選定基準などに関する「基本方針」です。候補地のIR実施に当たっての実現可能性や実施後の経済効果などについての評価基準を策定するものと思います。相当詳細な項目数になる模様です。

各自治体は、手を組むIR事業者とともに膨大な資料を準備して選定に臨むものと思います。各自治体とIR事業者が作成した誘致用のアピール資料は、恐らく優劣を付け難いのでないかと思います。その意味で客観的な判定が可能となるような評価基準を作成し、選考過程を「見える化」してもらいたいと思います。 間違っても政治力での決着は避けてほしいと思います。

また、選定基準の1つにIR誘致の賛否についての実施自治体による住民投票を入れてもらいたいと思います。自治体やIR事業者、関連団体、地域の事業者などは、誘致に前のめりで積極的であると思います。 この場合、ある意味で冷静な判断の期待できる地域住民の同意が必要だと思います。 住民投票による地域住民の過半数同意が必要です。

成立した法律では、実施自治体の同意が必要としていますが、地方議会の賛成や首長の同意だけでは不十分ではないでしょうか。カジノに対する地域住民の拒否感も相当強いものがあると思います。地域住民が納得できるような施策を充実させ、住民投票による審判を受けて初めて立候補出来る様な手順が良いと思います。

 

大阪都市構想の賛否についても住民投票が実施され、住民の否決により構想は不成立となりました。今回のIR立候補についても、地域住民にとって住んでいる住環境へのマイナスの影響や地域経済へのプラスの効果など直接的に関わってきますので、住民の納得のできる構想案を策定し同意を取り付けることが必要と思います。

 

国土交通大臣策定の「基本方針」に地域住民による住民投票の実施を立候補の条件にしてもらいたいと思います。

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