ふるさと納税に激震か

政府は、ふるさと納税制度に対する制度の見直し案を発表しました。野田聖子前総務大臣の時に制度見直しのプレアナウンスがありましたが、その内容が明らかとなりました。制度見直しは、一言で言えば、政府の定めた返礼品の基準を満たさない自治体のふるさと納税は、納税するのは勝手であるが、税優遇は受けられなくなるというものです。

政府案は、過度な返礼品の規制が目的で、「調達費が寄付額の30%以下の地場産品」という基準を守っている自治体だけを制度の対象にし、基準を守らない自治体は、来年6月1日以降に寄付した場合は、税優遇が受けられなくなるとするものです。

政府案は、2019年度の税制改正大綱に盛り込まれる予定です。これを受けて総務省は全国の返礼品の実態調査を行い、基準を満たしていない自治体をピックアップする計画です。
その後、来年の通常国会に地方税法の改正案を提出し、法案成立後、基準を満たしていない自治体の指定を行う計画です。

寄付で大量の資金を集めている自治体の中には、制度変更に異議を唱えているところもあるみたいですが、法案が通れば、事実上、高額返礼品は姿を消すと思われます。現時点で91の自治体が基準を守っていない状況ですが、そのままの状態を維持できるところは、激減するかゼロになると思います。

そして、次の問題は、基準の解釈に移っていくと思います。「調達費の30%以下」という点は、比較的わかりやすいので判定はそれほど難しくはないと思いますが、「地場産品」と言う基準は、疑義が多数生じると思います。何が地場産品かという点は、こじつければ色々と広く解釈が可能となります。

牛が地場産品にない自治体が牛肉を返礼品にしている場合、極端にこじつければ、牛の餌である飼料の生産シェアが全国一であるから、牛肉は地場産品であるという理屈のものです。
この例は、極端すぎて却下されると思いますが、実際には色々なケースが想定されますので判定はかなり難しくなると思われます。

東京オリンピックの予算についても、予算獲得の為、オリンピック関連予算として、色々とこじつけを行って各省庁が予算を付けているとの報道がありました。お役人は、そのあたりは朝飯前の技量を持っていますので、大変広い解釈をする可能性があります。

総務省と自治体の間で解釈を巡って争いが生じた場合、話がこじれれば、行政訴訟になりかねません。余分な行政経費が掛からないことを祈ります。

これを受けてふるさと納税は、年末から来年前半にかけて、最後の駆け込みピークが来ることが予想されます。そして来年の6月以降は、急速に下火になっていくと思われます。

自治体も金品で納税者を引き寄せる戦略から、自治体の魅力を積極的にアピールして、納税者の関心を集めて、本当の意味での寄付を集める努力をする時代になっていくものと思います。

 

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