2020東京五輪、気象情報の予測が勝敗のカギに

2020年の東京五輪・パラリンピック組織委員会は平成31年4月16日、詳細な競技日程を公表しました。あわせて、チケット販売方法の概要も公表されました。オリンピック・パラリンピックに向けて色々な情報が開示されていくに従って、国民の五輪に対する熱気が徐々に高まっていくことが予想されます。

とりわけ、令和元年への改元となる4月末から5月にかけての10連休明けからチケット予約の受付が開始されることから、人々の五輪への関心が高まっていくことと思われます。

 

2020年の東京五輪は、夏の暑さの中での大会運営となる為、暑さ対策が大会関係者の間で重要な課題となっています。マラソンや競歩など屋外スポーツは、既にスタート時刻の前倒しなど色々な対策が発表されています。また、道路の舗装面の対策やミスト設備の設置などハード面の対策も急ピッチで計画されています。

このような中で今注目されているのは、民間の気象会社からの高度な気象予測情報を活用した戦略的な選手の作戦計画の立案です。当日の気象条件を過去に蓄積された気象データから詳細に予測し、それに合わせた選手の当日の動きを考えるというものです。

当日の天気の状況により、例えばマラソン競技では、着るべき衣装の素材の選択、風向き情報や日陰情報を基にした移動する時のコース取りなど、当日の温度や湿度、風向き情報を基にして選手の作戦計画を立てていくというものです。

大会当日の選手の行動だけでなく、事前の練習においても想定される気象条件毎に訓練内容を定め、気象条件毎に最適なパフォーマンスが発揮できる練習を積み重ねていくことになります。このような予測技術を活用するかしないかによって明確なタイム差等の結果が出ると言われています。

 

オリンピック・パラリンピック等のトップアスリート間では、選手本人の能力差は接近していますので、環境適応力の差は大きく結果に響いてくることになります。

トライアスロンのスイミングでは、当日の水温や海流の予測などが、決定的に重要になるそうです。ただ漫然とスイミングに浜辺からスタートしていてはだめで当日の海流の予測データを基にした有利なスタート位置の確保が重要になってくるようです。

今年の夏は大会1年前に当たる為、民間気象会社は8月の大会期間中の各種気象データの収集・分析を大規模に行うと思われます。この期間中にいかに詳細なデータを取得できるかが五輪での勝敗を大きく左右する可能性があるからです。

但し、昨年の夏は異常な猛暑でしたが、今年の夏はエルニーニョ現象の為、冷夏が予測されています。その意味で来年の五輪当日の気象データを予測することは簡単ではないと思います。

気象予報の世界も気象庁という公(おおやけ)による単独予報体制から、民間予報会社による気象予報ビジネスが誕生しています。オリンピック・パラリンピック当日の気象予測は、まさに民間気象会社の手腕が試されることとなると思います。

東京2020では、選手が暑さの中でも十分なパフォーマンスが発揮できることを願っています。

 

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