照明をつけたままで寝る女性の肥満リスクが高まる

令和元年6月10日、照明をつけたままで就寝すると中高年の女性にとって肥満リスクが高まるとの研究論文が米国国立衛生研究所(NIH)から発表されました。詳しいメカニズムは解明されていませんが、米国内の35歳から74歳の健康な女性4万4千人のアンケート結果から分析されています。

寝室のテレビや照明をつけたまま寝る女性は、5年間の追跡調査期間内に体重が5キロ以上増加する確率が17%高かったとのことです。従来より、睡眠時は、暗くして寝た方が良いとする研究は色々ありますが、今回もその1つということになります。赤ちゃんの寝室を明るくすると暗くした場合に比べて将来近視になる確率が高くなるという研究成果もあるようです。

論文では、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌が光によって抑えられた結果、体内時計によるリズムや食事パターンに混乱が生じた可能性があると示唆されています。

光が、食物摂取量の調節に関与するグルココルチコイドなどストレスホルモンの分泌を妨げる「慢性ストレス因子」として作用している可能性や、代謝に直接影響を与える別のメカニズムが働いている可能性もあるとのことです。

もともと人類は、誕生から長い間、夜は暗闇の中で就寝してきました。人類が「火」を道具として使いこなせるようになる前は、夜の闇は「月明り」くらいしか照らすものはありませんでした。満月の照度は2ルクスです。従って、人類にとって睡眠時は、最大でも2ルクス程度の状態で体調が整うように進化してきたのではないでしょうか。

寝室で付ける豆電球などの常夜灯の照度は10ルクス程度です。寝室の通常の照明器具の照度は100から200ルクスです。人間の体にとってこのような照度の高い光が、たとえ瞼を閉じていたとしても、これを浴びながら寝るということは想定されていないのかもしれません。

そうであれば、今回の研究成果は女性の体重増加に対してのものでしたが、体への悪影響という意味では男女差はあまりないような気がします。不眠の原因として睡眠前のスマホやパソコンなどのブルーライトを浴びることが指摘されていますが、同じようなメカニズムかもしれません。

但し、寝室を真っ暗にして寝ることに抵抗のある方も多いと思います。心理的な不安感から常夜灯を付けないと寝れない方も多いと思います。また、都会ですと仮に寝室の照明を全て消しても外の明かりが窓から入ってきますので寝室が完全に真っ暗にはなりません。

あまりこの問題に神経質になると逆に睡眠に悪影響を与える気もしますので、参考程度に留めておいて良いかもしれません。「寝る時は出来るだけ暗くした方がよさそう。」程度で良いのではないでしょうか。

多くの方が健康で質の良い睡眠がとれるとこを願っています。

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