日本の空家は846万戸となり過去最高となりました

総務省が発表した「平成30年住宅・土地統計調査 」によると全国の住宅総数は、6,242万戸です。その内、居住世帯のある住宅は5,366万戸、居住世帯のない住宅は876万戸となっています。居住世帯のない住宅のうち建築中の住宅や一時現在者のみの住宅を除いた所謂(いわゆる)「空き家」は846万戸となります。

そもそも日本の住宅戸数は、空き家が増加している状況の中でも毎年着実に増加しています。昭和の時代から平成を通して毎年一貫して増加しています空き家が毎年増えているにも拘らず、新しい住宅が増え続けていく傾向に不思議な感じがします。

<我が国の住宅数の推移>
昭和38年 2,109万戸
昭和43年 2,559万戸
昭和48年 3,106万戸
昭和53年 3,545万戸
昭和58年 3,861万戸
昭和63年 4.201万戸
平成 5年 4,588万戸
平成10年 5,025万戸
平成15年 5,389万戸
平成20年 5,759万戸
平成25年 6,063万戸
平成30年 6,242万戸

平成25年から平成30年までの増加数は、179万戸ですが、都道府県別の増加数を見ると東京都が31万戸と最も多く、次いで神奈川県15万戸、千葉県14万戸、埼玉県12万戸となっており、東京圏だけで全国の4割に当たる72万戸の増加となっています。

東京圏の一極集中による歪が住宅増加傾向にも端的に表れています。

空き家の数は、全国で846万戸ですが、平成25年に比べて26万戸増加しています。空家率(総住宅に占める空家の割合)は、全国平均で13.6%となっており、100戸のうち14戸は空き家という状況になっています。

「空き家」と言うと、一般的に地方の老朽化した住人不在の1戸建てというイメージが強いかもしれませんが、実際は賃貸用の住宅の空き家が最も多くなっています。

<空き家の内訳>
賃貸用住宅     431万戸
売却用の住宅     29万戸
別荘などの二次的住宅 38万戸
その他住宅     347万戸

空き家の内訳のうち、「その他住宅」に分類されているものが、居住者が長期に渡って不在となっている建物や取り壊し予定の建物となります。

空き家率を都道府県別にみると以下のようになります。
(全体平均は13.6%です)
地方の過疎化の影響が強く出ていると思われます。

<空き家率の高い都道府県>
1.山梨県     21.3%
2.和歌山県    20.3%
3.長野県     19.5%
4.徳島県     19.4%
5.高知県     18.9%
5.鹿児島県    18.9%
7.愛媛県     18.1%
8.香川県     18.0%
9.山口県     17.6%
10.栃木県     17.4%

<空家率の低い都道府県>
1.埼玉県     10.2%
1.沖縄県     10.2%
3.東京都     10.6%
4.神奈川県    10.7%
5.愛知県     11.2%

また、住宅の形態について見てみると「共同住宅」の住宅数が昭和63年から平成30年までの30年間で2倍以上に増加しています。居住世帯のある住宅は5,336万戸ですが、この内訳は、次の通りです。

一戸建  2,876万戸 (53.6%)
長屋建    141万戸 ( 2.6%)
共同住宅 2,334万戸 (43.5%)

住宅に占める共同住宅の割合は、都市部が高くなっています。特に東京都では、共同住宅が7割を超えています

<住宅に占める共同住宅の割合>
1.東京都   71.0%
2.沖縄県   59.0%
3.神奈川県  55.9%
4.大阪府   55.2%
5.福岡県   52.6%

共同住宅の高層化も進んでいます。15階建以上の共同住宅の数は、93万戸と最近の15年間で60万戸増加しています。増加した60万戸のうち東京都が17万戸、大阪府が12万戸となっており、この2つの地域で半数を占めています。

<平成30年の15階以上の共同住宅の都道府県別の数>
1.東京都    25万戸
2.大阪府    20万戸
3.兵庫県     7万戸
4.神奈川県    6万戸
5.福岡県     5万戸
5.愛知県     5万戸
その他の道府県 24万戸

以上から見えてくる我が国の状況は、都市部への人口の集中による住宅建設の継続的な増加です。地方では、過疎化により空き家が増加している中で、都市部では住宅が作られ続けています。特に、高層マンションなどの共同住宅の建設が多くなっています。

都市部の高層マンションなどの共同住宅についても、このままの状況で増加していけば、経年劣化等色々な要因で空き家化するリスクが非常に高くなると思われます。

空き家問題の解決には、相続登記の励行など所有者不明の状態にしない対策など色々な施策があると思いますが、建物自体の需給バランスの確保を図る為の検討も必要な時期に来ていると思います。

空き家問題の簡単な解決方法はないと思いますが、従来より検討されては立ち消えになっている「首都機能移転」問題など抜本的な解決策もそろそろ検討する時期に来ているのではないでしょうか。

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