大型台風発生時の過酷な出勤地獄の改善を検討すべき時では

台風15号が9月9日に関東地方を直撃し、非常に大きな被害を発生させました。強風による送電用鉄塔の倒壊という想像を超える被害も発生しました。これによる大規模な停電により交差点の信号システムは完全に停止し道路も大渋滞となりました。また、強風による鉄道線路内への倒木の流入や鉄道架線や駅舎の損壊により鉄道運行システムもマヒ状態となりました。

前日より気象庁などから台風被害の予報が出され、非常に深刻な被害予報が警告されていました。それにも関わらす、当日の朝の出勤時刻を迎え、大勢の方が一斉に通勤の為の移動を開始した為、地獄の様な出勤状況が発生しました。人によっては職場まで4時間以上かかった方もいたとのことです。

長時間の出勤で体力の大半を消耗し、帰宅にも相当な時間がかかることから早めに帰宅する場合、実勤務時間は極めて短時間となります。生産性の面でも最低の状況となり、何のために無理して出勤しているのか分からなくなります

それでも無理して出勤するのは、日本人的な会社への忠誠心」や真面目な勤務態度」を示したいと思っている人が多いからだと思います。また、そのような方がいる一方で、本人の忠誠心はそれほど高くないが、周りの方からの目を気にして無理して出勤する方も大勢いると思います。

朝会社に出勤し夜帰宅する「参勤交代」のような働き方については、政府の働き方改革の中でも「テレワークの推進」というテーマで改善策の検討がされています。IT技術が急速に発達している今、自宅で勤務できる環境は企業が真剣に取り組めば可能な時代となっています。ただ現実には、まだあまり広がっていません。

「テレワーク」とまでは言いませんが、大規模災害が予想される場合は、出社不要扱いとする定めを会社は検討すべきだと思います。当日の業務に必要な方は、近くのホテルで宿泊し、それ以外の方は交通機関の状況に応じて出社不要とする扱いを取り決め、災害前日までにメール等で社員に周知すればよいと思います。勿論、このようなルールを既に実践されている会社も多いとは思います。

企業は「生産性」という切り口で会社経営を見ていると思います。災害発生時の従業員の忠誠心や勤務態度も重要ですが、会社の生産性は合理的で冷徹に判断する必要があると思います。無理に出勤して、当日やそれ以降の日に生産性が低下するような事態は、企業経営としては避けるべきです。思い切って災害休暇を与えた方が効率が良い場合も多いと思います。

鉄道各社も台風発生時の計画運休の取り組みを進めています。温暖化の影響で超大型台風はこれからも毎年発生し上陸の危険があります。従来の想定を超えた被害が日本全国で発生するリスクも非常に高くなってきます。企業経営者も過酷な「参勤交代」から「災害休日」への切替を早急に検討すべき時期になっていると思います。

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