台風19号の洪水被害により、居住地の「ハザードマップ」が注目されています

台風19号の大規模洪水被害により、52の河川と73の堤防が決壊し(1.10.16現在)、東海から関東・甲信越、東北地方にかけて甚大な洪水被害が発生しました。事前の予想では強風被害が心配され、必要な対策を準備したところも多かったようですが、強風以上に大雨被害が発生しました。それも、想定を遥かに超える大量の雨が長時間降ったことにより、広範な地域に渡って多くの河川が順次に決壊するという手の付けられない台風被害となりました。

令和元年台風19号は、わが国で発生した台風の歴史の中で、「伊勢湾台風」のような1つのメルクマール台風となるかと思われます。地球温暖化の影響かどうか分かりませんが、今後、19号クラスの台風の発生を毎年警戒しなければならない時代となりました。

少し前には、近い将来、わが国でも「スーパー台風」の発生が予想されると言われていました。スーパー台風とは、最大風速が毎秒65メートル以上の極めて強い台風で米軍合同台風警報センターが用いる台風の階級で最も強い区分にあたるものです。この予想が早くも現実化しつつあります。

このような中で、今注目されているのが各地方自治体で整備・公開されている「ハザードマップ」です。ネットで「地方自治体名称+ハザードマップ」で検索すれば、住んでいる自治体のハザードマップを見ることが出来ます。地震、津波、洪水など色々な項目別に地域の危険度が色分けされて見ることが出来ます。

従来、ハザードマップの活用はあまり進んでいなかったようです。実際に見たことのある方は、アンケート調査によれば50代男性が最も多く6割弱で20代の女性はあまり見られていませんでした。具体的な活用方法についても地震被害の想定で見られた方が多いのではないかと思います。今回の大規模水害の発生により、この「ハザードマップ」の洪水被害への注目度が高まっています。

洪水被害のハザードマップは、地面の高低差から作成されますので、その精度の高いことが今回の洪水被害の発生結果から証明されました。まずは、住まわれている地域のハザードマップを確認して、洪水被害の対象地域かどうか確認する必要があります。被害想定地域であれば、早めの避難活動を今後は行う必要が出てきます。

また、不動産の売買市場においても今後は変化がみられると思います。不動産物件を購入する場合、仲介業者である不動産業者の宅地建物取引士は、職務として、取引対象物件に関する情報を調査して買主に提供する義務があります。いわゆる物件の「重要事項説明」です。ハザートマップで危険地域に入っていても、重要事項としてこれを説明するか否かは宅地建物取引士の判断となっています。説明を義務化すべきという話もあったようですが、不動産業界への影響を考慮して、現在は不動産業界への政府のお願いレベルの要請とされてます。

今回の台風被害を目の当たりにして、今後の不動産物件の売買において買主側から重要事項の説明として、ハザードマップ記載事項の説明を要請されるケースが増えて来ると思います。現在の不動産市場における土地の評価では、洪水被害のハザードマップ情報はあまり考慮されずに価格が決定されていると言われています。それに比べて地震・津波被害の情報は、土地価格にかなり反映されるようになっていると言われています。今後は、土地の評価価格にも洪水のハザートマップ情報が利いてくるようになると思われます。

格言ではないですが、防災面で日本の置かれた状況を端的に表す言葉として、「日本は、国土面積は全世界の2%に過ぎないが、地震・津波・火山・台風等の大規模災害の発生頻度は全世界の20%を占めている。」と言われています。まさに災害大国ニッポンなのです。この現実を冷静に受け止めて、民族としてこれまでも生き抜いて来ましたし、これからも生き抜いていかなければならないのです。国民の団結力が益々必要になってくるのです。

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