令和3年10月から「郵便配達」が遅くなります

令和3年10月1日より郵便の「土曜配達」が休止されます。また、「翌日配達」も段階的に繰り下げられます。具体的には、普通扱いとする郵便物(手紙・はがき)、ゆうメールについて、従来行われていた「土曜配達」が休止されます。また、普通扱いとする郵便物(手紙・はがき)、ゆうメールについて、お届け日数が1日程度繰り下げられます。10月以降段階的に実施し、実施時期などの詳細は、日本郵便のウェブサイトで公表するとのことです。


これにより、普通扱いの郵便物は、現在月曜に出したものは火曜日に届きますが、これが水曜日到着になります。
また、火曜日に出したものは木曜日到着になります。問題は、木曜日に出したものは、従来は翌金曜日に到着していたものが、翌週の月曜日到着になってしまいます。

さらに、木曜日、金曜日、土曜日に出したものは、全て翌週の月曜日到着となり、月曜日の郵便物の量が3日分となり量が極端に増えてしまう恐れがあります。


このような制度変更に至ったのは、もともと「郵便事業の民営化」について持たれていた懸念が顕在化したものと言えます。
郵便事業は公共的側面の強いサービスであるため、採算性をある程度は度外視した経営がなされてきました。これを民営化すれば、いづれ経営が立ちいかなくなると考えられていました。

その懸念は、インターネットによる情報伝達手段の多様化や郵便配送に携わる要員の人手不足も加わり早期に顕在化しました。このような状況を踏まえて、総務省の有識者会議は、令和元年8月6日、今回実施される郵便事業の負荷軽減策のベースとなる「郵便サービスの見直し案」を作成し了承されました。。

この見直し案では、日本郵便の試算によると、郵便事業全体で625億円の収益改善が見込まれるとしていました。当初予定では、この案をもとに同年秋の臨時国会で改正法の成立を図り、令和2年からの運用開始を見込んでいました。


ところが、折しも「かんぽ生命の不適切販売問題」が大きな社会問題となっていました。
郵便局の職員が郵便局と取引のある高齢者に対して生命保険を不適切に販売したというものでした。世間は郵便局に対して厳しい目を向けていました。

そこで、「速達郵便料金の値下げ」も含め、実施時期も大幅に遅らせることとしました。その結果、今回の令和3年10月1日からの運用開始となったのです。

なお、今回の改正では、「ゆうパック」「ゆうパケット」「レターパックプラス」「レターパックライト」「クリックポスト」速達、書留、簡易書留などは、引き続き土曜、日曜、休日も配達され、お届け日数の変更もないそうです。届出日数が厳守される郵便物は、これらのものを利用する必要がありそうです。

また、速達料金も値下げされます。250㎏まで290円が260円に、1㎏まで390円が350円に、4㎏まで660円が600円に値下げされます。


今回の制度変更について、まだ知らない方が多いと思います。
郵便は身近な社会インフラですので人々の社会生活に直接影響してきます。郵便局も今回の制度変更について積極的に広報活動を行ってもらいたいと思います。

届くと思って出した郵便が想定通り届かなかったというクレームが生じないように積極的に広報活動をしてもらいたいと思います。郵便局の窓口での案内やテレビコマーシャルなどの活用も必要ではないかと思います。名古屋では、9月17日の地元紙に全面広告が1回掲載されましたが、インパクトが少ないと思いました。


新聞掲載での見出しが、「2021年10月から郵便物・ゆうメールのサービスを一部変更します。」となっていましたが、あまり注目されないと思います。
本文には、「土曜配達の休止」や「お届け日数の繰り下げ」が明記されていますが、表現がやわらかなため、直接どのような影響が出るのかピンとこないかもしれません。

「従来、木曜日に出して翌金曜日に届いていた手紙が翌週の月曜日到着になります。」のようなインパクトの強い内容とすべきであると思います。「土曜日配達の休止」「お届け日数の繰り下げ」「10月以降段階的に実施」のようなマイナスイメージを軽減する文言が多用されていますので、伝わりにくいと思います。

サービス低下となる事柄については、より分かりやすく記載して、少しでも多くの方に内容を理解してもらう必要があると思います。具体的な例を用いた方が伝わりやすいと思います。しっかり広報しておかなければ、運用開始後の世間からのクレームはより大きなものになると思います。今後の積極的な広報活動に期待したいと思います。


郵便事業は、ネット社会が普及したとはいえ、今なお重要な社会インフラだと思います。郵便がこれからも安心して利用できるようにするためには、一定の負担も甘受する必要があると思います。

今回の制度変更は、郵便制度の維持発展のためには避けて通れないと思います。制度の見直しにより、郵便事業が安定的に将来も継続できるようにして頂くとともに誤配や遅配などのない安心して利用できるサービスにしてもらいたいと思います。

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