平成30年11月30日から新しい定款認証制度がスタートします。

平成30年11月30日から公証人法施行規則の一部が改正され、定款の認証方式が変更されます。これにより、定款認証を必要とする会社や法人の設立手続において新しいルールが適用されることになります。

会社や法人を設立する場合、会社の根本規則である定款を作成します。これを最初に作成した定款と言う意味で原始定款と言います。この原始定款は、一部の会社や法人については、そのままでは効力を持ちません。

原始定款を公証役場で公証人によって認証してもらって初めて効力を有することになります。公証人とは、一般の方には馴染みはないかと思いますが、公証役場に所属する元裁判官や検事の方等で契約書面等の公証業務を行う方です。

一般の方が関係することがあるケースとしては、公正証書による遺言書の作成や公正証書による各種契約書(金銭の借入、協議離婚時の離婚条件等々)の作成等でお世話になることがあるかもしれません。

定款の認証とは、正当な手続によって定款が作成されたことを公証人が証明することです。

色々ある会社や法人の中で株式会社や一般社団法人、一般財団法人についは、作成された原子定款に対して公証人の認証が必要となります。定款認証を受けなければ会社・法人は設立できません。

昔は定款認証と言えば、紙に書いた定款を認証してもらうことでしたが、最近は電子定款を電子認証する方式になりました。印紙税の節約になるからです。

今回の改正は、簡単に言えば、会社や法人の実質的支配者を把握して、その方が暴力団員や国際テロリストではないことを確認する手続きが追加されたということです。最近のマネーロンダリングの流れを汲む改正だと思われます。

暴力団員や国際テロリストによる法人の設立を未然に防止し、会社の不正使用を抑止することが狙いです。我が国は、マネーロンダリング対応や国際テロリストに対する警戒態勢が甘いと言われ続けており、その対策の一環であると思います。

会社や法人の実質的支配者という新しい概念が登場している為、誰が実質的支配者かどうか判断に迷うケースもあるかと思います。判断基準は具体的に示されていますので、その基準に従って判定し、判断するすることになります。

個人が起業の為、1人で新たに会社を設立する場合などは迷うところはありませんが、資本関係が入り組んでいる会社が子会社を設立する場合など注意が必要となります。

具体的手順は、定款認証時に公証人に対して定款認証を嘱託する者が実質的支配者となるべき者を特定して、その者の氏名住所等を記載した申告書を提出することになります。

公証人は、申告書を基に実質的支配者が国際テロリスト等の人物ではないかを独自のデータベースを検索して探索する扱いになります。万が一、実質的支配者が国際テロリスト等の人物と特定されれば、定款認証はできないこととなります。

世の中、色々な規制が多くなっています。しかし、今回の定款認証に対する新たな確認行為は、日本の会社が国際的テロリスト等によって設立されていないことを水際で防止するものですので、積極的に協力していく必要があると思います。

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