約40年ぶりの相続法の大改正が国会審議中です

相続法の大きな改正が、現在、国会で審議されています。平成30年の第196回通常国会で成立することが予想されます。(平成30年6月24日現在、衆議院を通過して、参議院に送付され現在審議中です。)

法案としては、「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案」、「法務局における遺言書の保管等に関する法律案」です。

今回の見直しは、約 40 年ぶりの相続法の大きな見直しとなっています。見直しの趣旨の一つとして、高齢化社会の進展により老老相続が増加し、特に高齢で残された配偶者の生活に配慮する必要性が高まったことが挙げられています。

具体的な内容としては、多岐に渡りますが、大きな狙いとして以下の諸点が挙げられます。

① 高齢で残された配偶者の権利保護
② 現在社会問題化している「空き家問題」の原因である「相続登記未了問題」への対応
③ 遺産分割時の相続人間の公平性の確保
④ 遺言が簡便に出来る為の施策
⑤ 長男の妻等の老親介護への貢献評価
⑥ 遺留分制度の運用性の向上
⑦ 相続発生時の一時的な預貯金の払出制度の創設

「配偶者居住権」、「預貯金の仮払い制度」、「自筆証書遺言保管制度の創設」等、新しい制度も創設されています。

 

ところで、東日本大震災の復興対策で最も障害となったことは、所有者不明の土地問題でした。大規模区画整理を実施する上で、所有者不明の土地が点在する為、区画整理事業が前に進まなくなっていました。

所有者不明の土地問題の原因の1つは、「相続登記の未了」でした。先祖代々の土地については、相続登記を実施しないで受け継ぎ、現在もそのままとなっているものが多くあります。

世代が数代に渡ってしまうと当初の当主からの相続人の数が膨大に膨れ上がり、その所在や生死すら不明の方も出てきます。このような状況の中で、現時点で相続登記を行おうとすると、全ての相続人からの承諾 (具体的には、遺産分割協議書への実印押捺と印鑑証明書の提出) が必要となり、困難を極めてしまいます。最近は、海外に居住されている方も多い為さらに解決を困難なものにしています。

未了となった相続登記の解決は、地道に解決するとともに、一部法的な救済策などの検討も必要かもしれません。しかし、これから「相続登記の未了」を発生させないことが最も肝要なこととなります。

 

このような背景から、政府・法務省・関係機関や団体は、相続登記の積極的実施を強力に運動展開しています。相続登記の実施を妨げている色々な障害を1つ1つ取り除いて、相続登記の実施率向上を目指しています。

今回の相続登記の大改正もその流れを受けて、相続登記が円滑に行う事の出来る様に色々な機能が盛り込まれています。

 

今回の改正内容の詳細は、「相続法の改正(1)目次」をご覧ください。

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